【国交省19年度概算要求①】 〈総合政策局〉ICT施工モデル事業は工種拡大
2018/09/05建設時事
建設メール
国土交通省総合政策局の2019年度予算概算要求では対前年度当初比1・39倍となる国費449億200万円を要求している。i-Constructionは普及加速を図る考えで、自治体発注工事を受注した中小建設業者に対し、ICTを活用した施工計画の立案を支援、ICT施工に必要な機材を貸与するとともに、中小規模の工事への導入効果を検証するなど先導的モデル事業について工種を拡大しながら展開する。工種拡大に必要な技術基準策定に向けた調査・分析も行う。
またAI・ロボット等革新的技術のインフラ分野への導入では、AI研究開発に必要な教師データの整備を行うとともに対象技術を拡大。開発支援プラットフォームの運営なども進める。
メンテナンス産業の育成・拡大も図る考えで、効率的・効果的なメンテナンスの実施をコーディネートする技術者を地方自治体等へ試行的に派遣し効果を検証するほか、インフラメンテナンスデータの利活用を推進することで建設副産物の登録作業を効率化するなど生産性向上を図る。
◎〈官庁営繕部〉官庁施設で防災機能強化
国土交通省大臣官房官庁営繕部は2019年度予算概算要求で対前年度当初比1・20倍となる213億8800万円の官庁営繕費を求めている。防災拠点となる官庁施設の防災機能強化では、地域と連携した防災拠点等となる官庁施設の整備に加えて、官庁施設の耐震化や天井耐震対策、津波対策を進めるほか、首都直下地震時に霞が関地区の中央省庁で非常時優先業務などの継続に必要な電力を確保するため自家発電設備の燃料槽増設などを実施する。
官庁施設の老朽化対策ではハード・ソフト対策の両面から官庁施設の長寿命化を進めるとともに既存施設の危険箇所、経年劣化が著しい部位については緊急的に改修する。
またPFI手法の活用による官庁施設整備や、木材利用を促進するためのCLT(直交集成板)活用、地域と連携した国公有財産の最適利用、発注者の責任を果たすための取り組み、営繕工事における働き方改革を推進する。
◎〈国土政策局〉国土の長期展望を検討
国土交通省国土政策局の2019年度予算概算要求では対前年度当初比1・13倍の921億5700万円を求めている。主要施策のうち、対流促進型国土の形成では広域連携プロジェクトやスーパー・メガリージョン構想の具体化などを図る。土地の適切な管理の在り方に関する調査も行い、評価指標を検討する。また国土の長期展望として国土の基礎的な条件に係る新たなデータの構築や技術革新による地域構造への影響分析等を行い、50年までの国土の姿を描き出し、将来の課題整理・解決方策を検討する。
地理空間情報の高度活用によるイノベーションの加速化では、G空間情報センターを中核とした地理空間情報の収集・加工・提供体制を充実させる。
防災・減災への機動的な対応を図るための災害対策等緊急事業推進費(公共事業関係費)には161億2700万円を要求している。
◎〈土地・建設産業局〉建設産業の働き方改革推進
国土交通省土地・建設産業局の2019年度予算概算要求では、建設産業の働き方改革や地籍整備の推進などに向け、対前年度当初比1・10倍の191億1500万円を要求している。
建設市場の環境整備では、民間発注工事、建設技術者の働き方改革を推進する。民間発注工事に対しては週休2日を前提とした適正な工期設定や施工時期の平準化など公共工事の取り組みが浸透するように中小零細専門工事業の実態調査や先導的モデル事業の事例集拡充などを行う。また建設技術者の長時間労働是正へ専門工事共同施工制度(仮称)創設に向けた施工体制の実態調査・分析などを進める。建設業許可等の将来的な電子申請化も検討する。
担い手の確保・育成では女性活躍の推進、社会保険加入の徹底・定着、建設リカレント教育を推進。他にも建設職人の安全・健康確保のため安全衛生経費の適切かつ明確な積算、明示、支払いの促進や建設分野における外国人受け入れの円滑化・適正化、地方の入札契約改善推進事業などを進める。
地籍整備の関係では、市町村による地籍調査の推進、地籍調査の基礎的情報を整備する基本調査の実施、民間等の測量成果を活用した都市部における地籍整備の推進、ICTを活用した地籍調査の効率化に向けた環境整備の予算を求めている。