【国土交通省就任インタビュー】 大臣官房建設流通政策審議官 北村知久氏「発注者と意思疎通を」
2018/09/21インタビュー
建設メール
国土交通省大臣官房の北村知久建設流通政策審議官(建流審)は2年前まで土地・建設産業局の建設業課長を務めていた。今後の建設業法改正に向けて「業界の働き方改革につながるような実のある法律を作りたい」と抱負を語る。また政府が民間発注者の所管省庁を巻き込んで建設業の働き方改革を進めていることについては「もともと問題だと思っていたものが大きく取り上げられている。痛みもあると思うが、それを乗り越えて建設業がしっかりとした産業になるために、公共事業だけでなく、いろいろな発注者と意思疎通をしながら追い風に乗って働き方改革を進めていかなければならない」と話す。
当面の課題には外国人材の受け入れを挙げ、「外国人の前に日本人の処遇改善が不可欠。働き方改革で処遇を改善し、生産性を上げる。それでも足りないのであれば外国人を入れる。基本的には日本人と同じ処遇になるが、早急に制度設計を行う必要がある」とした。
今後の働き方改革では適正工期の設定が重要になる。北村建流審は「発注者も協力してもらえるような枠組みが出来ているので、それを踏まえた法律改正をしたい。ただ適正な工期は受注者である建設企業でなければ分からないので、発注者に主張するようお願いしたい。発注者も悪意があってやっているわけではないことも多々あると思う。それは元請けと下請けの関係も同じ。仕事を請ける時にどのくらい工期が必要なのか、発注者と意思疎通を図ってほしい」との考えを示す。
建設キャリアアップシステムを活用した今後の政策展開については「技能労働者の経験や持っている資格が一目瞭然に分かり、きちん蓄積できるようになる。技能労働者の評価を客観的に行うことで、職人を抱える専門工事企業の実力も客観的に示すことができる。適切な評価によって適切な処遇につなげることが本来の目的なので、企業と個人をしっかりと評価することにより技能者の能力向上のインセンティブになるし、それが処遇改善にもつながるのではないか」と期待を寄せる。
【略歴】きたむら・ともひさ
1987年東大法学部卒、建設省採用。国交省土地・建設産業局建設業課長、水管理・国土保全局総務課長、大臣官房審議官(国土政策局、土地・建設産業局担当)を経て、本年7月31日付で現職。64年5月生まれ。54歳。山梨県出身。