【国土交通省就任インタビュー】 都市局長 青木由行氏「付加価値の向上が大切」
2018/09/25インタビュー
建設メール
国土交通省の青木由行都市局長は就任インタビューで「まちづくりを巡る経済社会の変化で一番インパクトが大きいと思っているのが人口減少と長寿命化。そして生産性をいかに上げるかが重要になってくる」との考えを示した。また「人口が減少することは、あまりネガティブには考えていない。人口減少でむしろできなかったことができるようになることもある。都市局では人口減少に対してコンパクトシティやスポンジ化対策を進めているが、人口減少が進んでいく中では外に向かって市街地を拡大していく時代は終わっていると思う。むしろ今まで作ってきた内側の、エリアの付加価値をいかに上げていくかが大切」と強調する。
都市のスポンジ化対策に関しては「東京でもスポンジ化は起きており、多くの都市で対策が必須だと思っている。何か新しい動きを作っていく上での契機になるという意味でも、取り組むべき課題ではないか」と指摘。具体的な取り組みを進めるに当たっては「それぞれの都市において消費と投資が回る空間を、まちの中でどう作るかというのが大事。例えば、かつて商店街でにぎわったところがあったとして、そのにぎわいを復活させるアプローチをしているところもあるが、もう少し違う切り口の人が集まる場を作るなど、時代に合わせた空間の作り方があると思う。大きな投資額だけでなく、小さい金額でも回っていくことが大事」と語る。
さらに「官と民の役割も現場ごとに柔軟にベストミックスを考えていけばいいのではないか。それを追求するための余地はまだまだあると感じている」と話す。
都市再生特措法の成立により、今後は新たな制度が動き出すことになる。青木局長は「やはり公共団体が大切なプレーヤーだと思っている。いろいろな制度を有効に使って、人口減少をむしろメリットにするくらいのまちづくりをどんどん展開してもらいたい」と大きな期待を寄せる。
【略歴】あおき・よしゆき
1986年東大法学部卒、建設省採用。国交省土地・建設産業局建設業課長、総合政策局政策課長、道路局次長、大臣官房建設流通政策審議官を経て、本年7月31日付で現職。62年12月生まれ。55歳。山口県出身。