【国土交通省就任インタビュー】 道路局長 池田豊人氏「財源問題を考える時期」
2018/10/05インタビュー
建設メール
国土交通省道路局の池田豊人局長は就任インタビューで、公共事業費の横ばいが続く中、今後のインフラの整備やメンテナンスで課題が山積しているとし「日本全体で財源問題をどうするのか、考える時期に来ていると思う」との見解を示した。
老朽化対策に向けては「笹子トンネルの天井板落下事故をきっかけに、老朽化が心配される全国に70万橋ある橋梁を5年間で一通り点検する取り組みから4年が経った。5年で一区切りになるが8割が完了している。そのうち市町村管理が約50万橋あるので、市町村が努力した結果」としながら「早く修繕をしなければ今後通行止めになる可能性があるところが10%ほどあり、その中で実際に着手できているのは地方管理道路に限れば12%に過ぎない。残り88%を速やかに進めるためには今の公共事業費だけでは厳しい状況で、ここが大きな課題」と指摘。二巡目の点検に当たっては「使える技術は使うというのが基本スタンス。一巡目はとにかく70万橋を、歯を食いしばってでもやろうとしてきたが二巡目も同じ様に一律ということはないと思う。対象物も分類分けを考える必要がある」と語る。さらに「市町村の人材不足も懸念され、国や県が代行しているが、今後もさらに充実させなければならない」と強調する。
無電柱化施策に関しては「春に無電柱化推進法に基づく計画を作り、3年間で1400㎞という、これまでの5割増し以上のペースで進めるため、公共団体や電力会社と一緒に取り組んでいる。台風21号では大阪で約1000本の電柱が倒れて停電につながっており、道路に倒れれば復旧活動の支障となる。国土の強靭化、防災のためにも、もっとペースを上げることが必要」と話す。
国交省では高速道路における安全・安心計画の策定作業を進めている。池田局長は「暫定2車線の場合、正面衝突事故の可能性があり、重大事故につながる。大雪などが起こった時に通行止めになる頻度は2車線と4車線ではまるで違う。また防災の面からも4車線化の優先順位を考えなければいけない。一連の災害で痛感したことも踏まえて計画をまとめたい」との姿勢を見せた。
【略歴】いけだ・とよひと
1986年東大大学院工学系研究科(土木)修了、建設省採用。国交省大臣官房技術調査課技術企画官、関東地方整備局道路部長、道路局道路交通管理課長、環境安全課長、大臣官房技術審議官、近畿地方整備局長を経て本年7月31日付で現職。61年7月生まれ。57歳。香川県出身。