【被災地の前金払特例】 3県の直轄工事は継続
2016/04/04建設時事
建設メール
国土交通省は東日本大震災の被災地域における国発注工事の前金払特例の対象を2016年度から岩手、宮城、福島3県の全市町村に限定することを明らかにした。昨年度まで対象だった青森県、茨城県、栃木県、千葉県、長野県、新潟県の一部市町村は対象外となる。
特例では、原則、請負金額の10分の4以内となっている工事の前金払の割合を請負金額の「10分の5以内」とする。設計・調査、測量、機械類製造の前金払の割合についても、原則は10分の3以内だが、特例で「10分の4以内」とする。
中間前金払は請負金額300万円以上の工事が特例の対象となる。
なお、今回の特例継続は国関係の直轄工事に限られるもので、地方自治体発注工事の場合は地方自治法施行規則により各自治体の裁量で特例を継続することができる。
〈記者の眼〉
今回の特例継続は財務大臣との協議で決まったものだが、国直轄工事で発注するような大規模案件が3県以外では減ったことが大きな理由とみられる。震災復旧・復興工事以外でも特例が適用されるため、依然としてインフラ復旧工事が道半ばの3県以外では、一般的な工事にまで特例を認める必要は無いと判断した格好だ。
昨年度までの特例対象地域でも特例を活用していなかった自治体は存在する。いつまでも被災地という印象を引きずることなく、本年度から震災前の特例を受けない状態に戻す自治体の増加が予想される。