【国土交通技術行政】 「データ駆動型の行政」推進を提言
2018/10/23建設時事
建設メール
今後の国土交通技術行政における政策の方向性を検討してきた国交省の基本政策懇談会の中間取りまとめ案が固まり、23日開催の社会資本整備審議会・交通政策審議会技術部会へ報告された。技術政策の進め方では「データ駆動型の行政」の推進を打ち出し、データに基づく政策立案と実施、民間のイノベーション促進を目指す。また技術の社会実装の迅速化を図るため、多様な主体が参画した社会実験のような取り組みを積極的に活用することを提言している。具体的な施策としてデータ利活用戦略の策定、局・省庁横断的な社会実験を都市や地域で実施する取り組みを進め、必要に応じて今までにない大規模な社会実験の検討を提案した。
主要技術政策の進め方では、①新たなモビリティサービス②気候変動・地球温暖化を踏まえた防災対策③サステイナブルなメンテナンス④「Society5.0」時代の都市・地域マネジメント―の4つのテーマ別に政策の方向性と具体的な施策を盛り込んだ。
防災対策の関係では、洪水氾濫の危険性が高い地域の河川整備に合わせて避難行動や適正な土地利用等による事前復興、グリーンインフラ、モビリティの確保等も包括した「防災川まちづくり」の実施を、政策部局間を貫くプロジェクトとして実施することを提言。
メンテナンスの関係では、地方ブロックごとに各管理者や学識者、異分野技術の開発者等を集めた組織を設置して新技術の実装を進めることや、点検・診断等の実務を担う技術者が不足する地方自治体を支援するため、メンテナンスの専門的知見を持つ外部人材を自治体が活用できる制度の創設を求めた。
都市・地域マネジメントに関しては、さまざまなデータと新技術を掛け合わせたスマートシティの推進、都市・気象データを駆使したグリーンインフラの計画と整備、事前復興推進のためのシミュレーション技術など多様な新技術・サービスの活用・実装を進めることを提案した。
国交省の菊地身智雄技監は、今回報告された内容について広く国民へ発信するとともに「今後の技術政策の検討や次期技術基本計画の策定の際の参考とさせていただく」と話した。