【工事の平準化】 交付金事業でゼロ債の活用増える
2016/04/04建設時事
建設メール
国土交通省は施工時期等の平準化に向けた都道府県の取り組み状況を把握するため、2月に実施したアンケート調査の結果をまとめた。総務省との連名で社会資本総合整備計画等の交付金事業についてゼロ債務負担行為を設定して事業を実施することが可能である通知を行った直後でもあり、22団体が平準化の観点を踏まえたゼロ債務負担行為の活用を2016年度から実施予定または実施する方向で検討していると回答したことが分かった。15年度には6団体が活用していた。
国交省土地・建設産業局建設業課では「通知の効果がすぐに出ている」とし、16年度4月から6月期の工事量増加を期待するとともに、今後の活用増加に期待を寄せる。
また、年度当初からの予算執行へ執行率や契約率の目標を設定している都道府県は34団体あり、うち11団体が公表済み。
年度当初から速やかに発注手続きを開始するため、前年度のうちに設計・積算を完了させる取り組みを行っているのは30団体あった。
繰越制度の活用に当たり、従来は年度末直近の定例会で行っていた承認手続きを、それ以前の定例会で行っているのは29団体だった。
また、柔軟な工期設定を通じて資材や労働者の確保につなげる余裕期間制度の設定状況も判明した。余裕期間内で工期の始期をあらかじめ指定する「発注者指定方式」は7団体、受注者が工事開始日を余裕期間内で選択できる「任意着手方式」は13団体、受注者が工事の始期と終期を全体工期内で選択できる「フレックス方式」は9団体が導入している。
〈記者の眼〉
今回の調査結果は平準化の観点を踏まえた取り組みが都道府県で進んでいることを裏付けるもので、昨年度下期ブロック監理課長会議での申し合わせが着実に実行されていることが分かる。申し合わせ事項である年度当初からの予算執行の徹底や、市区町村の発注・施工時期等の平準化に向けた支援については今後の取り組みが注目される。
担い手3法の改正以降、業界側も各発注者の姿勢を注視している。年度末に工期を設定する「既成概念」を打破する自治体が数多く現れることを期待したい。