【重要インフラ】 3年間で集中的に緊急対策実施へ
2018/11/27建設時事
建設メール
7月豪雨や台風21号、北海道胆振東部地震など最近の災害を考慮して政府が進めてきた重要インフラの緊急点検結果と対応方策がまとまった。国民の経済・生活を支え、生命を守る重要インフラが、あらゆる災害時に機能を確保できるよう132項目にわたる緊急点検を実施したもの。27日開催の関係閣僚会議で安倍晋三首相は、今回の結果等を踏まえて年末にかけて「防災・減災、国土強靭化のための3カ年緊急対策」を策定し、3年間集中で実施するよう指示した。今後、実効性ある対策になるよう関係府省庁が実施内容や事業費等の検討を進める。
主な点検結果および対応方策のうち、河川の関係では、バックウォーター現象等により氾濫した場合に湛水深が深くなり甚大な人命被害が生じる恐れがある区間を有する河川の存在が判明したため、堤防の強化対策や、かさ上げ等を実施する。
病院関係では、診療機能を3日程度維持するために非常用自家発電設備の増設などが必要な災害拠点病院等があったため、燃料タンクの増設等に必要な支援を行う。
砂防関係では、災害リスク情報の整備が不十分な都道府県・市町村や、気象庁の土砂災害に関する情報改善の必要性が明らかになったため、土砂災害警戒区域の基礎調査の全箇所完了、土砂災害ハザードマップを作成する。また土砂災害警戒判定メッシュの解像度を5㎞から1㎞化し、精度を上げる。
電力関係では、現行法令等に照らし問題のある設備がないことを確認したが、さらなる電力供給の強靭化に向け、中期対策としてのインフラ強靭化、事業者との連携、情報発信の強化などを行う。
空港関係では、ターミナルビルで必要な電源設備等の浸水対策や吊り天井の耐震対策を進める。
道路関係では、幹線道路等の法面・盛土で土砂災害の危険性が高く、鉄道近接、広域迂回など社会的影響が大きい箇所の存在が判明したことから、土砂災害等に対応した法面法枠工や落石防護柵工、土砂災害を回避する改良(バイパス)および道路拡幅などを実施する。
鉄道関係では、豪雨により流失・傾斜の恐れがある橋梁が存在するため、橋脚の基礎部分をブロック等で補強する洗掘防止工や異常検知システムの導入などの整備を計画。
港湾関係では、主要な外貿ターミナルで浸水対策、耐震対策、港湾BCPの充実化を図る。
通信関係では、迅速な応急復旧のための体制整備、通信事業者における車載型基地局等の増設を実施する。
なお緊急対策では、2018年度第2次補正予算および19・20年度当初予算における「臨時・特別の措置」を活用する。