【既存杭対策】 地盤環境問題の解決へ日本杭抜き協会設立
2018/11/28業界動向
建設メール
構造物の解体撤去後にそのまま地盤に埋設されている既存杭に起因する地盤環境問題の解決に向けた取り組みが始まった。芝浦工業大学(東京都港区)工学部土木工学科の稲積真哉教授が代表理事となり、産学官で組織する一般社団法人日本杭抜き協会が設立された。既存杭や既存杭の引抜きを学術的に取り扱う法人の設置は国内で初めて。
現在の既存杭引抜き工(撤去工)では、引抜き杭の残置、新設杭への悪影響、周辺地盤の沈下、跡地利用の障害など、施工中・施工後ともに、さまざまな環境問題が顕在化している。特に解体・撤去後の跡地利用に際して、既存杭やコンクリート殻といった産業廃棄物が地中に残っていることが、地盤環境の悪化をもたらす深刻な問題となっている。さらに土地売却取引時に「隠れた瑕疵」として社会問題にまで発展する事例も見られる。
同協会では、これまで軽視される傾向にあった既存杭の存在や引抜き工について、技術革新を目指すとともに、取り組みの必要性や重要性を学術的な見地から明らかにする。まずは情報発信や勉強会を開催し、広く現状を認識してもらう。また引抜き工法の基準やガイドライン策定に努め、講習・検定制度の構築も目指していく。