【多様な入札契約+記者の目】 本年度も自治体からモデル事業公募
2016/04/11記者の目/論説
建設メール
国土交通省は11日から、都道府県や市区町村を対象とした公共工事の多様な入札契約方式モデル事業の案件募集を始めた。5月下旬にも、入札契約を工夫することで地域の課題解決を目指すモデル事業を選定する。国交省が派遣する専門家(支援事業者)の公募は6月上旬に行い、7月上旬に支援事業者を決めた上で、個別のモデル事業に対する発注支援を進める。
入札契約方式としてはCM方式、設計・施工一括発注方式、地域維持型契約方式、設計段階から施工者が関与する方式などを想定しているが、それ以外の方式でも課題解決につながるモデルとなる場合は支援対象とする。
土地・建設産業局建設業課入札制度企画指導室では「まずは自治体が抱える課題が何かを把握して、最適な入札契約方式を提案し、支援策も考えていきたい」としている。
改正品確法では発注者は多様な入札契約方法の中から適切な方法を選択できることを規定した。モデル事業に選定されれば、独自で先進的な発注に関する支援業務を外部委託するよりも費用負担を軽減することができる。
なお、昨年度は体育館建設事業および庁舎建設事業で各2件、病院建設事業で1件の5件が対象に選ばれており、既に事業者選定にまで至った事例も出ている。
〈記者の眼〉
モデル事業を募集する主な目的は、多様な入札契約方式を増やすことではなく、地域が抱える課題を解決するための自治体支援にある。モデル事業に選定されると国交省の費用負担で発注準備を行うことができるため、規模が小さく、知識や経験が不足する自治体にとって利用価値は高い。
同事業は3年目に入るが、CM方式や設計段階から施工者が関与するECI方式は事例が出始めているため、本年度は土木工事を対象とした新たなモデル事業にも期待したい。新しい入札契約方式を採用する場合、財政当局や議会から了承を得ることが難しいとされるが、他の自治体で実績があり、かつ費用縮減や工期厳守の面で効果があるならば理解も得やすくなるだろう。