【2018年を振り返る】 法改正で建設業界にも新たな動き
2018/12/27業界動向
建設メール
◎働き方関連法が成立
2018年の建設業界にとって大きな出来事の一つは働き方改革関連法の成立だ。これまで適用除外とされてきた時間外労働の上限規制が5年間の猶予期間を置いて建設業にも適用されることになった。建設技術サービス業に位置付けられる建設関連業者は猶予期間無しに来年4月から罰則規定が適用される。3月には国土交通省が建設業働き方改革加速化プログラムを策定し、石井啓一大臣が3月と9月の2度にわたって直接、建設関係4団体へ取り組みを要請した。日本建設業連合会は「労務費見積り尊重宣言」を行い、労務賃金改善の趣旨にかなう適切な労務賃金を内訳明示した見積書の提出要請を徹底し、当該見積りを確認した上で尊重する姿勢を明確に打ち出した。
法律の関係では道路法、建築基準法、建築士法、水道法、入国管理法など建設業界にとって重要な改正法案が数多く成立した。来年には担い手3法の改正が予定されるなど、今後も建設業界を取り巻く環境の変化に伴う新たな取り組みが求められる。
◎キャリアップシステムは来年4月から
建設キャリアアップシステムは本運用開始時期を来年4月に変更する方針が決まった。来年1月からは24の現場で限定運用を始める予定で、システムを利用できる現場を限定した上で多様な現場で運用することにより、安心で円滑なシステムの利用を検証し、本運用に備えることになった。
◎国土強靭化へ3カ年で7兆円
また本年は大阪北部地震、7月の豪雨、台風第21号、北海道胆振東部地震など、大規模な災害が立て続けに発生したことも忘れてはならない。政府は重要インフラの緊急点検を行い、結果を踏まえて「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」を策定。3年間に約7兆円の規模で緊急対策を行う見通しになった。初の見直しを行った国土強靭化基本計画にも位置付けている。通常の公共事業関係費とは別に事業費が上乗せされるため、18年度第2次補正予算案および19年度当初予算案では大規模な公共事業費が盛り込まれた。今後は早期の成立とともに、円滑な執行に向けて受注者側も万全の態勢を整える必要がありそうだ。
◎振興基金は佐々木氏が理事長に
建設業関係団体の主な会長人事では、建設業振興基金の新理事長に佐々木基氏、日本道路建設業協会の新会長に西田義則氏、プレストレスト・コンクリート建設業協会の新会長に藤井敏道氏、海外建設協会の新会長に蓮輪賢治氏、日本造園建設業協会の新会長に和田新也氏、セメント協会の新会長に関根福一氏、日本建設機械工業会の新会長に大橋徹二氏、日本建築士事務所協会連合会の新会長に佐々木宏幸氏が就任した。また全国建設業協会の近藤晴貞会長は再任が決まった。
◎事務次官に森氏が就任
国土交通省の幹部人事では7月31日付で事務次官に森昌文氏、技監には旧運輸省出身では初となる菊地身智雄氏が就いた。石井啓一国土交通大臣は10月に発足した第4次安倍改造内閣で留任が決定。今月23日には旧建設省時代から数えて歴代最長だった扇千景氏を抜き、歴代1位の在職日数となった。