【建設キャリアアップシステム】 都内2現場で限定運用始まる
2019/01/15建設時事
建設メール
建設キャリアアップシステムの2019年度からの運用開始に先立ち、利用可能な現場を限った限定運用が15日より始まり、第1号の現場が報道関係者に公開された。限定運用は実際の建設現場でシステムが安心かつ円滑に利用できるかどうかを検証するもので、3月までの間に建築や土木の新築・改修工事、戸建て住宅のリフォーム工事など、24の現場で順次実施する。
今回、国土交通省と運営主体の建設業振興基金の共催により、大成建設が施工する「(仮称)麹町五丁目建設プロジェクト」と鹿島建設が施工する「赤坂5丁目プロジェクト」の都内2現場が公開された。各現場では入場に当たり、カードリーダーに建設キャリアアップカードをかざして情報を読み取らせ、就業履歴などを蓄積した。
中規模のオフィスビルを建設する麹町五丁目の現場の限定運用では、就業履歴と入退場記録を蓄積する。地中障害撤去工事を行う岡田組で職長を務める與那城武士氏は「初めての元請けの現場で働く時は一からのスタートだった。システムが始まることで自分の職歴を客観的に証明できるようになることは非常にありがたい」と話す。今後に向けては「工事規模や元請けに関わらず、どこの現場に行ってもシステムが導入されていてほしい」と要望した。
また24階建てのホテルを建設する赤坂5丁目の現場の限定運用では就業履歴を蓄積する。現場所長を務める鹿島建設の上田孝氏は「いよいよ始まったというのが実感。これからは現場側の人間の理解度をより高めていきたい。安全確保に大きく寄与することを期待している」とした上で、「若年層の建設業への入職者が少なくなっている状況を打開する施策として非常に有効。元請け側は全面的に協力を惜しまず進めていきたい」と述べた。
同システムは技能者の資格、社会保険加入状況、現場の就業履歴などを業界横断的に登録・蓄積する仕組みで、技能者が技能や経験に応じた処遇を受けられる環境を整備する。運用開始初年度で100万人の技能者登録、5年で全ての技能者の登録を目標とする。