【社会資本】 20年後、30年後の維持管理・更新費は1・3倍
2019/01/23建設時事
建設メール
国土交通省は23日開催の社会資本メンテナンス戦略小委員会で、所管分野を対象とした2018年度時点における今後30年間の維持管理・更新費の合計が176・5兆円から194・6兆円程度となる推計を説明した。国、地方自治体、地方道路公社、水資源機構、一部事務組合、港湾局が管理者のものを対象に、全ての分野で予防保全を基本に長寿命化や新技術導入効果などを踏まえた推計となっており、長期的な費用の増加は最大で20年後、30年後ともに約1・3倍になる見込みだ。
国交省では13年度に10分野(37項目)を対象とした10年後、20年後の維持管理・更新費の推計を行っている。今回の18年度推計は自動車道を除く所管13分野(79項目)が対象で、予防保全の考え方を基本に推計期間を30年後とするなど条件が異なる。
18年度推計では、点検の進捗に伴い施設の劣化状況が詳細に把握できるようになったことに加え、修繕・更新を必要とする施設数が増加したため、13年度推計に比べ全体的に費用が増えた。ただし事後保全から予防保全に切り替えることで、30年間で3割程度の費用が縮減されると試算しており、長寿命化による効率化の効果が見込まれる。
また48年度までの維持管理・更新費として全国の鉄道事業者約200社は約38・4兆円、高速道路6会社は約19・4兆円を推計。鉄道施設に関しては今回、48年度の維持管理費および更新費の合計額が18年度比1・16倍の約1兆3700億円になる将来推計を示した。
国交省では新たな推計について今後の維持管理・更新に向けた政策検討の参考にする考えで、地方自治体を含めた全ての管理者に予防保全の積極的な導入を働き掛ける。