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〈建設論説〉 繰越で適正工期を確保せよ

2019/02/27記者の目/論説

建設メール

 建設業の働き方改革に必要不可欠な施工時期等の平準化へ向けた取り組みに国が本腰を入れている。平準化に当たっては、前倒し発注につながる債務負担行為の設定と年度を越えて事業を実施する繰越手続きが「車の両輪」として必要になる。このうち適切な繰越明許費の議会議決を促すため、国土交通省と総務省は2月8日付で地方自治体に対して速やかな繰越手続きの徹底を求める異例の通知を出した。
 年度内では適正な工期の確保が難しい状況が生じた場合、年度末を待たずに、直後の議会で繰越明許費の議決を行った上で翌年度にわたる工期を設定し発注手続きや契約変更の実施を求めたもの。「繰越額が未確定であることをもって速やかな繰越手続きを実施できない理由とはならない」という、従来よりも踏み込んだ表現を用いたところに国の本気度が表れている。
 特に自治体が二の足を踏む場合が多い補助事業でも、ためらわずに繰越手続きの実施を要請したことから、自治体には従来の慣例に捉われない対応が求められる。
  ◇◆◇◆◇◆◇
 一部の自治体では、慣例により繰越明許費の計上が年度末の議会に限定されており、それまでの間、年度をまたいだ工期の設定や変更が行われない事例が見られる。
 今回の通知の大きな特徴は当初想定していた内容を変更する必要が生じる「やむを得ない事由」の例に、新たに補助金交付決定時期の遅れ、不調・不落の発生、自然災害の発生を加えた点。実際に年度末に繰越処理をする額は議決額通りではなく、その範囲内でよいという解釈も明確にすることで繰越手続きに対する抵抗感を極力減らした。
 今国会への提出が予定される公共工事品確法改正案の検討に携わる佐藤信秋参議院議員は、発注者が単年度予算主義に縛られて、本来は年度内で終わらない工事でも年度内に収まる工期で発注する「ミスジャッジがまだある。繰越や翌債が使えることを明示する必要がある」と指摘する。改正案では工期が翌年度にわたる場合には繰越明許費の活用など必要な措置を講じなければならないことを「発注者の責務」に規定する見通しだ。
 国交省の担当者は国の解釈を明確にした通知に加えて、法律の後押しがあることで「柔軟な運用が進むのではないか」と期待を寄せる。
  ◇◆◇◆◇◆◇
 公共工事の品質確保には適正な工期の確保が必要不可欠。想定外の出来事の発生により発注が遅れ、予定していた工期では年度内に工事が完了しないことは、発注者も分かっているはず。それにも関わらず無理やり年度内に工期を収めようとして繰越手続きをしないのは行政の不作為であり、結果として受注者にしわ寄せが行くことになる。これまで発注者の意向を忖度して無理な受注を行ってきた建設業者も今後は必要な工期変更を求めてくるはずだ。
 最近は6月や9月の上半期議会で繰越明許費を提出する事例が増えている。工事の品質確保には適正な工期が必要というのは当たり前の話。発注者が年度内完成に固執するが故に、建設現場の長時間労働を生じさせることがあってはならない。

 

 

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