【生産性向上+記者の眼】 「地方・中小企業も参考に」日建連がアクションプラン
2016/04/28記者の目/論説
建設メール
日本建設業連合会(日建連)は、生産性向上のアクションプランにあたる「生産性向上推進要綱」をまとめた。会員企業だけではなく、地方・中小企業も参考にしてほしいと訴えている。要綱では、重層下請構造の是正を目指し、グループ力の強化を進めることを提案している。
重層下請構造により、本来チームプレーであるはずの建設業の生産工程にロスが生じているため、専属度を高め、グループとして施工する方式に回帰すべきとした。
また、生産性向上は、省人化を目標としたものだが、担い手確保に必要な処遇改善の原資を生み出すもので、休日の拡大を可能にするためにも欠かせない取り組みと位置付けた。
生産性が向上し、安く・短く施工できるようになっても、結果として予定価格が下がり、工期も短くなり、「自分で自分の首を絞めることになるだけ」と危惧する声もあるが、生み出されたお金と時間は、処遇改善と休日確保にあてるべきものだと明言した形だ。
要綱では、コンクリート工のプレキャスト化やICT活用、設計・施工一貫方式の普及など、土木工事、建築工事それぞれで取り組むべき事項をまとめている。
今後の課題は、生産性向上の評価手法になる。省人化効果を数値化する必要があるが、今のところ具体的な手法は見えておらず、今後検討を進める。
日建連は、昨年策定した「再生と進化に向けて―建設業の長期ビジョン」で2025年までに35万人の省人化を目標に掲げている。
〈記者の眼〉
重層化是正のためには、前提として工事の平準化が求められることになる。日建連の有賀長郎事務総長は、「平準化については国交省との意見交換でも訴え続けており、今後改善されていく」と見通しを示した。確かに国交省直轄工事については平準化の動きはある程度進みそうだが、地方自治体の発注工事となると疑問符が付く。今回の要綱は、もちろん地方・中小企業にとっても参考になる部分は多いと思うが、やはり日建連会員向けであることも間違いない。地方・中小がどのように生産性向上を進めるのかは、地方・中小が自ら考える必要がある。