《連載②・総合評価工事成績を上げるには》 工事難易度中~低、ミスコニュニケーションを無くす
2019/04/08特集企画/PR
冬虫夏草
前回は、工事成績を上げるためにはどうすればいいのかという点で、工事難易度が高いものを対象に挙げたが、今回は、工事難易度が低いもの及び工事全般について述べたい。
工事難易度の低い案件に関しては正直に言うと、高い点数をつけるのは難しい。もっと率直に言うと76~78点を目指すのが現実的だ。
国の発注工事については、努力や工夫を認める方向が強いが、県レベルになると足りない部分を見つけ『引き算』で点数をつける場合が多いような気がする。
まずはミスをしないことである。施工上のミス(電線の切断)などは論外であるが、ミスコニュニケーションによる不都合が意外と多い。打合せ不足により、竣工検査の日程が不明確のまま工事完了し、期日が経ったことにより、盛土高が不足していることなどがよい例だ。工事難易度が低い場合の配置技術者の技術はコニュニケーション能力も含めた者であることを自覚する必要がある。
ミスが多い技術者は特定の人が多い。何度注意しても、同じ過ちを時間が経つと繰り返す。発注者とのコミュニケーションをとらず、自己判断が多い。
会社は『会社による教育』が難しいということを知るべきである。つまり、教育ではなく、外形的規則、例えば電線を切断する不注意を繰り返す技術者の現場では、電線下にコーンを設置、どかさないと進めなくするなどの処置が必要となる。
ミスを無くした上で、工夫を行うべきである。工事難易度が低い場合の工夫は限られてくる。一番効果的なものは、周辺住民等への配慮である。なぜなら、発注者はクレームを一番嫌うからである。常に周辺住民の声を聞き、声を反映させ、住民にもアピールし、発注者にもその努力をアピールする必要がある。
アメリカの広告業界の古典的宣伝文句として『暗闇でのウインクは効果がない』という趣旨のものがある。つまり、認識されない努力は無駄ということであり、ここでコニュニケーション能力が必要となる。
技術者も立派な会社の営業マンであることを自覚させることが肝要である。
寄稿者:冬虫夏草
長きに渡り、地方自治体における総合評価制度の実際の現場で評価に携わってきた
現在も総合評価制度を探究し、ゼネコンはじめ多くの建設企業から相談を受けている