【日々の栞】 宝くじは娯楽です
2019/04/19コラム
日々の栞
▼1等前後賞合わせて10億円|。一攫千金の代名詞である宝くじ。2017年度の売上額は20年ぶりに8000億円を割り込んだというが、年に数回あるジャンボ宝くじの発売日ともなれば、売り場は夢追い人たちでにぎわいを見せる。ちなみに売上額のピークは05(平成17)年度の1兆1047億円▼宝くじが国内で初めて発売されたのは1945(昭和20)年。旧厚生省指導による組立住宅が1500円という時代に、1等賞金10万円、1枚10円で販売された。初の億万長者が誕生したのは89(平成元)年の年末ジャンボ。70周年を迎えた2015(平成27)年の年末ジャンボでは1等前後賞合わせて10億円の大台に乗った▼宝くじを販売できるのは都道府県と20の指定都市。販売額から賞金や経費などを除いた約40%が発売元の自治体に納められ、公共施設整備や防災対策などに使われている。千金をつかみ損ねた読者もおられようが、その1枚は建設産業の振興に一役買っている▼公共工事等の入札で、くじによる落札決定の多発が問題となっている。数十社が下限値と同額で並ぶこともまれではない。くじ引きに各社の経営努力や技術力は介在しない。あるのは運だけ。「宝くじのよう」。経営者の嘆きを何度聞いたであろう▼この状況に対し、最低制限価格を固定制から変動制に変えたり、通常よりも評価項目を減らした簡易な総合評価落札方式で事務負担の軽減を図りつつ、価格だけによらない入札を試行する自治体もある。官民協力し課題解決を急いでほしい。受注が運任せという職業に、若者たちが夢と希望を抱き入職してくるはずもない。(長野・EM)