見たもん勝ち

【道路の点検・修繕を考える①】 より効率的な点検へ/行政セミナーから

2019/04/17特集企画/PR

建設メール

 日本工業経済新聞社および全国地域活性化支援機構が主催する行政セミナーが3月15日に都道府県会館で開かれた。当日は約200人が参加し、2019年度から二巡目に入る道路インフラにおける定期点検に向けて、国土交通省が2月末に改訂した定期点検要領の要点を学ぶとともに、必要な予算の確保や新技術の活用促進など、今後の点検を効率化するための方策について産官学の関係者が考えた。日本工業経済新聞社の電子版建設メールでそのもようを3回に分け掲載する。

◎基調講演:「道路インフラにおける定期点検の効率化に向けて」
国土交通省道路局国道・技術課
道路メンテナンス企画室長 小林賢太郎氏(肩書は当時)
 2012年に笹子トンネルの天井板落下事故があったことを機に道路法を改訂し、省令の中でトンネルや橋に関しては5年に1回の近接目視を基本として定期点検の実施を規定した。また告示の中で点検した結果を踏まえ、診断結果を4段階に区分することが決まっている。
 2月28日には定期点検要領の改定版を公表した。定期点検要領は国から地方に対する技術的な助言であり、具体的な点検の方法を載せているが、あくまでも参考資料。実際に県や市町村によっては独自に定期点検要領を策定し、点検を行っているところもある。
 4段階はⅠが「健全」でⅣが「緊急措置段階」。通常Ⅳになると、橋であれば通行止めなどの規制を行って直ちに緊急的な補修を実施することになっている。Ⅲは「早期措置段階」で構造物の機能に支障が生じる可能性があり、早期に措置を講ずべき段階。Ⅱは「予防保全段階」で、Ⅲとなる前にⅡの段階で措置をすることを推奨している。それが結果的にライフサイクルコストの削減につながると考えている。
 今回の改訂では必要な措置の内容を明確化した。一般的に措置は、定期点検結果を踏まえて補修・補強(工事)を行うが、その他に、例えば橋であれば撤去も措置の一部となり、通行止めも措置の一部になる。監視も措置の一部であることを明確化している。つまり措置は補強工事等の対策を実施することだけではなく、変状の挙動を追跡的に把握して管理に反映するために行われる監視も含まれる。いわゆるモニタリングの技術などを活用することも措置の一部と明確化した。ただし監視と言っても1年に1回だけみれば良いということではなく、しっかりと変状の経過を監視することをいう。
 定期点検は14年度から進めており、18年度が最終年度となるが、定期点検自体は順調に来ている。
 措置の状況は昨年8月に初めて公表した。14年度から16年度に点検を実施し、判定区分がⅢとⅣになった橋梁で修繕工事に着手している割合は国土交通省では62%となったが、高速道路会社では36%、都道府県と政令市も含めた市町村は合わせて12%だった。定期点検は着実に行われているが、その後の修繕工事には、まだ十分に着手できていないので、ここが課題だと思っている。特にⅡの予防保全段階での着手率が非常に低い。国交省としても可能なものはⅡの段階で修繕工事に着手していきたいと考えている。
 修繕工事が進まない一つの原因として予算の制約がある。国交省では維持修繕・更新費が将来どのくらい必要になるのかを推計した。今回の推計は点検結果を反映させて、より精緻なものにしている。今年度は、国と地方を合わせて道路施設の維持修繕・更新費は年間で1・9兆円必要だが、将来的に48年度には事後保全の場合は最大2・4倍まで増える。ところがⅡの段階で修繕工事を行うなど、予防保全が理想的に行われれば、最終的には1・5倍に抑えられるという結果が出ているため、理想的には予防保全に切り替えていくことが必要になってくる。
 5年に1回の近接目視の定期点検について、例えばⅠの判定のものはサイクルを長くできないかという質問をいただくが、5年の間にも損傷が生まれているケースもある。われわれは5年に1回に固執しているわけではないが、損傷の内容によっては5年でも少し長い部分もある。定期点検は二巡目に入るため、点検結果を踏まえて判断していきたい。点検結果が蓄積され、知見が得られれば柔軟に対応したいと考えている。
 今回の定期点検要領見直しのポイントの一つは、変状や構造特性に応じた点検対象の絞り込みを行ったこと。溝橋や水路ボックスのような特定の構造物に関しては、点検時の着目箇所を特定することで合理化している。また点検で十分に確認できていなかった部分があるので、適切に診断できるよう技術的な情報を充実させた。
 もう一つの大きなポイントは新しい技術の活用。近接目視を補完・代替・充実する技術が活用できるように定期点検要領を見直している。併せて新技術の性能カタログと新技術利用のガイドラインもホームページで公表した。
 ただしこれだけで新技術の活用が進むとは思っていないので、19年度から新技術に関して直轄の国道事務所で地方公共団体の参考となるようにデモンストレーションをしようと思っている。点検の合理化も実演していきたい。
 今回、定期点検要領を改訂したが、実際にそれぞれの現場で活用していく中で出てくる、さまざまな課題を吸い上げながら、より効率的な点検を実現していきたいと思っている。

 

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