【歩切り+記者の眼】 端数処理の実態把握へ自治体に調査
2016/05/16記者の目/論説
建設メール
国土交通省と総務省は全ての地方自治体を対象とした、公共工事における予定価格設定時の歩切りに関する追跡調査を行う。今回は昨年度までの調査で端数処理やランダム係数で予定価格を調整している自治体が252団体あったため、詳細な実態把握を行うのが主な目的。また、昨年1月の時点で歩切りを実施していた全ての自治体が歩切りを廃止する旨を明らかにしたことから、その後の状況についても調査する。
調査は全1788団体に対して、5月1日現在の状況を5月末までに回答してもらう。
端数処理やランダム係数による予定価格の調整は自治体によって状況や方法が異なるため、ランダム係数の独自算定方式に関する具体的な数値や端数処理の具体的な基準、見直しの予定の有無などを回答してもらう。さらに設計書金額の何%が減額されることになるかも問い、仮に最大で1%以上の減額を行う場合には、理由や必要性についても解答を求めることにした。
〈記者の眼〉
今回の調査は端数処理等の実態を調べるほかに、「歩切りを廃止する」と回答した自治体が本当に廃止しているのかどうかを確認する意味合いもある。入札契約適正化法に基づく状況調査のため、虚偽があるとは考えにくいが、慣例や自治体財政健全化等のための歩切りは完全に廃止されたことを信じたい。
端数処理やランダム係数に関しては、最終的には廃止を求めることになるが、両省では、まずは1%を超えるような過度な減額を行う事例があるかどうかを調べたい意向が強い。例えば設計書金額1億円の工事で1%を切り捨てていた場合、100万円を減額したことになる。これは端数処理とは言えない数字だろう。今回は従来とは異なり「独自算定方式」や「その都度判断」という曖昧な回答を認めていないため、実際にどの程度の減額が「極めて少額」と言えるのかを判断する材料がそろう見通しだ。