
三菱地所(東京都千代田区)が千代田区で計画するCLT(直交集成板)を構造材として採用した8階建てオフィスビル「(仮称)千代田区岩本町三丁目計画」の新築工事が29日に着工した。国土交通省の補助事業に採択されたもので、三菱地所グループとしてCLTを活用したオフィスビルは初めての物件。密集市街地におけるCLTを採用した高層非住宅建物のモデルケースとなることが期待される。設計・監理は久保工および三菱地所設計、施工は久保工が担当し、2020年3月末の竣工を予定する。
所在地は千代田区岩本町三丁目7-5。敷地面積145・61㎡。
施設規模はS造および木造8階建てで、延べ床面積645・05㎡。3~8階部分の床の構造材に約57立方メートルのCLT材を使用する。CLTを構造材とした6階以上の事務所建築は国内で初めて。上層から4層は1時間耐火仕様、5層以下を2時間耐火仕様とし、階数に応じて耐火仕様を使い分けることで、高コスト化を避けることが可能になる。
今回の計画では、宮城県仙台市で建設したCLTを床材とした高層賃貸マンションの実績を生かし、CLTの製品価格や接合部コスト、耐火被覆コストに対して設計段階から改善案を考案し、施工を通じて検証することで、技術の進歩につなげる考え。同社では今後もCLTを利用した建築物の普及促進に先導的な役割を果たす姿勢を見せている。