【土木学会】 水道部門管路はCの悪化見込み/19年インフラ健康診断書
2019/06/03建設時事
建設メール
土木学会・社会インフラ健康診断特別委員会(橋本鋼太郎委員長)は、「2019インフラ健康診断書(試行版)」をまとめた。今回は道路部門と新規の水道部門を公表。道路部門は橋梁がCの現状維持、トンネルがDの現状維持、路面(舗装)がCの現状維持だった。水道部門は管路がCの悪化見込みの結果になった。
同診断書はインフラの現状を広く国民が理解し、社会インフラの維持管理・更新の重要性や課題を認識することが目的。16年度に道路部門、17年度には道路、河川、下水道の3部門、18年度は道路と港湾部門を公表してきた。
診断書は、施設の健康度をA(健全)~E(危機的)で評価し、それに施設の維持管理体制指標を3段階(改善見込み、現状維持見込み、悪化見込み)で付けた。
部門別に見ると、水道部門は管路がC・悪化見込み。給水人口規模別の健康度は60万人以上C+、10万人以上C、3万人以上C-、1万人以上C-、1万人未満Dといった具合で、大都市ほど比較的良好な状態。同様に維持管理体制も60万人以上と10万人以上が現状維持で、以下は悪化見込みとしている。
道路部門は、橋梁がC・現状維持。管理者別に見ると国管理と高速道路会社管理の都市内道路はB。それ以外の都道府県・政令指定都市道、市区町村管理の道路、高速道路会社管理の都市間道はいずれもC評価。一方でトンネルはD・現状維持見込み。詳細は都市内道路のみAで、国管理道路と都市間高速道がC、都道府県・政令指定都市道と市区町村管理道路がDだった。路面(舗装)はC・現状維持だが、国管理道路C、高速道路会社の都市内道路と都市間道路はともにB評価だった。
会見で橋本委員長は「国交省によると、インフラ整備費は30年間で200兆円近い維持管理更新費が必要との試算が出された。ただし事後保全だと255~284兆円にも達する。費用面でも予防保全の必要性が問われている」と説明した。
2020年度は、これまでの集大成として(施行版)を外した「インフラ健康診断書」とする予定。また今後は鉄道、エネルギー、通信などのインフラ施設についても健康診断が可能か検討する。