〈冬虫夏草〉 厳しい労働情勢のなかで
2019/06/03コラム
冬虫夏草
建設業界で一番問題になっているのは、人手不足であろう。
景気が良いせいか平成29年3月時点の新高卒の内定率は98%、新大卒の内定率は97.6%となっている。
ただ、3年離職率は高卒41%、大卒32%と相変わらず高い。
フリーターは15~34歳で155万人だが、平成16年度の214万人からは減少しており、派遣業務の発達などが原因の一つであろう。
ただ、問題は35~44歳のフリーターは平成16年度の28万人から60万人と倍加している。
厚生労働省は、高齢者や女性、様々な問題を抱えた若者などの就労を支援する施策を行っている。
外国人労働者の受け入れと言う材料はあるが、離職率の低減と離職者の抱え込みも重要なファクターである。
教育は1~2年では出来できない。ましてや、研修期間で終了するはずがない。
車や時計などステータスに興味を持たない若者が増えている。
多様な若者の価値観を認め、終業時間や休暇など教育が完了するまで、会社が我慢する必要もあるのではないだろうか。
調整は給与でやればよいことであり、柔軟な対応力が会社に求められる。
一方、業界として国などに要望すべき事項も変わるべきではないだろうか。
工事の安全性を求めるのなら、交通誘導員は全工期にわたり積算されるべきである。
若者や外国人を労働者として受け入れろというならば、また、休日を取れというのなら、工期の割増、それに伴う工事費の増額を行うべきである。
コンサルタントへの委託業務においては研究費などが委託費の経費として認められている。
建設業界においても、ITの導入や雇用形態の多様化などイニシャルコストがかかる変化が求められている。これも、工事費の中に繰りこまれるべきであろう。
公共工事の利益率が上がれば、企業としてやれることも多くなる。企業努力に一方的に頼る構図は改めさせるべきである。