〈冬虫夏草〉 競争性の担保
2019/07/17コラム
冬虫夏草
競争性の担保は公共事業にとって必ず付いていくものである。
ただ。公正取引委員会が示す競争性は、いささか理解できない一面がある。
談合が確定したときの損害金が設計上適切である予定価格より、下にあるのはなぜなのであろうか。ダンピングを積極的に推奨しているのであろうか。
そうでなければ、不思議な損害金算定であるのだが。
最近は、設備工事などで適正競争入札妨害が摘発された以外は、JR関連も新聞を飾っていた。
新聞紙上はゼネコンの名前が載っているが、確かJR関連は全て関連建設会社があったはずだ。
しかし、それらの会社がたとえ建設共同企業体の子であっても、新聞で見かけたことがない。
地方公共団体が発注する工事において、補助事業であるならば積算マニュアルは同一であり、必要最低限である。
単独事業で大規模工事を行う発注者は東京都以外ではほぼない以上、単価だけではなく、積算マニュアルも見直すべきであろう。
本来、発注者は事業者として仕事を発注するだけでなく、業界の指導も責務の一翼である。その事業者が、最低限の様式で、高い品質を望むのは如何なものであろう。さらに、発注者は積算がユニット積算などマニュアル化したことにより、現場の状況がますます判らなくなっている。
コンクリートの養生では、どこまでが標準なのか正確に判っている技術者は少なくなっており、明らかにユニット積算の弊害である。細かなことを言えば、歩道に設置される街路樹などは幹の大きさで支えが違ってくるが、そんな細やかな積算をできる技術者が少なくなってきている。
そして、どの発注者も設計変更に対して寛容な方針を立てているが、実際の担当者が柔軟に対応しているかというと、はなはだ疑問である。
特に、議会承認案件となればなおさらである。
現在、世界は異常気象の中にある。エルニーニョが起こらなかった去年も世界中で異常気象現象が起こった。
観測史上初を耳にすることも慣れてきてしまった。
生命を守る社会基盤の整備も従来どおりではなく、より高く設定されるべきであろう。
海外では、価格だけではなく、提案も加味して落札者が決まる仕組みが多い。
それは、日本のように技術力が平均化できていないことも要因となっている。
いずれにせよ、価格だけの競争性から脱却すべきである。