〈冬虫夏草〉 役所の在り方
2019/08/05コラム
冬虫夏草
役所というものは、法律や条例などの規則により動いているものである。
以前、面白い記事を読んだ。
NPO法人「官製ワーキングプア研究会」という組織があり、地方自治体の職員の5人に1人は非正規雇用で、役所がワーキングプアを生んでいるというものだ。
地方自治法では、臨時職員は緊急かつ一時的措置と位置づけられているが、現実は毎年定量で補充される人員となっている。
総務省ではこの問題に対して二度の通知を行い是正を地方自治体に対して求めてきたが、主に財源を理由として改善はみられていない。
また、臨時職員等は、年度をまたいで又は複数年契約での雇用を出来ない仕組み(過去において採用されたもののエントリーをできなくしている)を作り出しており、瑕疵がないにも拘らず雇用の機会を奪うことは明らかに違法であろう。
さらに、地方自治体に追い打ちをかけるように、財務省は人口が減少しているにもかかわらず、地方自治体の職員の数だけが増大しており、職員数の減少を図るべきだとの見解をこのほど示した。
職員数については、国の業務の地方への委譲や育児放棄やドメスティツクバイオレンスなどに対する職員増が国や国民から求められたことによる増加の現状を見ていないなどの地方自治体の言い分もある。
しかし、国が働き方改革を進める中では、職員数の減少はともかく、臨時職員の改革は必要であろう。
総務省では、「自治体直雇用だけでなくすべての非正規雇用労働者の雇用の安定、労働条件改善を求める運動と世論をいっそう広げていく」と息巻いている。
自治体職員は育児休暇や定年後の再雇用など自分たちの地位改善に対しては積極的なのだから、臨時職員などに対しても配慮すべきであろう。
外に向けては、正規雇用の拡大を唱え、内では黙認する行為は如何なものであろう。
臨時職員の正規雇用を図れば、自治体財政がさらに悪化するというが、それは民間企業でも同様である。
何よりもまず、法律や条例などの規則の精神を尊重し、民間に求めると同様に自らも律すべきである。