
国土交通省の山田邦博技監は就任インタビューで、前任が内閣官房内閣審議官(国土強靱化推進室次長)だったこともあり「国土強靱化の取り組みを、より強力に進めていきたい」と抱負を語った。現在、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策が進められているが「国土強靱化の予算は通常の予算もあって、喫緊のものを3か年計画で進めている。国土強靱化は『国家百年の計』ということが法律にも基本計画にも書かれており、粘り強くやっていく必要がある。とりあえずは3か年計画に合わせて国土強靱化を行うが、当然3年で終わるものではないと思っている」と話す。
インフラの維持管理も重要な課題であるとし「限られた予算の中だが、技術開発の観点も含めて効率的にできるよう前向きに取り組みたい」との意気込みを示した。
「新・担い手3法」の運用・浸透に向けては「働き方改革への対応や発注者の責務などを地方公共団体や関係団体にまずは分かってもらわないといけない。単純に中身を説明するだけではなくて、基本的な考え方や何のためにやるのかということについて、丁寧な説明を心掛けていく」と語る。
建設現場の生産性向上につながるi-Constructionの取り組みに関しては「ICT施工では測量、設計、施工、維持管理に至るプロセス全体で最初から3次元データを使って効率化を図ることを目指している。それと一緒に新技術や新工法、新素材の導入も加速し、国際標準化の動きとの連動も重要だと思う。いよいよ全体を見渡した中で生産性を向上する段階に入ったのではないか」と説明。地方への普及に対しては「初期投資の問題はあるが、長期的な観点から生産性革命は非常に重要であり、将来の建設業界のことを考えてやっていくべき。重要性を分かってもらえるように説明し、意見も聞きながら課題を一つ一つ解決していきたい」とした。週休2日の確保も「待ったなしの施策」とした上で「現場でさまざまな課題が生じてくると思うので、現場の意見を聞いて課題に向き合いながら進め方を考えていく」との姿勢を見せる。
また業界を取り巻く環境が変化する中で「働いている方が変化に付いて行けるように支援をしていきたい。建設業界の目線に立った行政も必要」との考えを述べた。
【略歴】やまだ・くにひろ
1984年東大大学院工学系研究科(土木)修了、建設省採用。国交省関東地方整備局河川部長、水管理・国土保全局治水課長、大臣官房技術審議官、近畿地方整備局長、水管理・国土保全局長、内閣官房内閣審議官(国土強靱化推進室次長)を経て本年7月9日付で現職。61歳。愛知県出身。