
国土交通省の栗田卓也国土交通審議官は就任インタビューで、現行の国土形成計画が中間年度を迎え、国土の長期展望の検討に入っているとした上で「国土政策は、その時の課題にどう応えていくかという一つの大きな羅針盤」との見解を示し、人口減少や技術革新が進展する中で「ニーズの変化を捉えて、幅広く聞く耳を持って進めていきたい」と抱負を語った。
今後の国土政策ではリニア中央新幹線などの整備がもたらす「国土構造の大きな変革」の効果を最大限に引き出すためのスーパー・メガリージョン構想の実現が重要になる。栗田審議官は「東京―大阪間はリニアで1時間、三大都市圏で人口7000万人の巨大都市圏が生まれるため、人々の交流機会が増加する。ICTの発展によって人の移動が求められなくなるという議論がある半面、フェーストゥフェースの価値が逆に高まるのではないかと思う。人間と人間が接点を持つことでイノベーションを生むということが政策の本質的な部分。リニア駅と中心市街地が一体となった都市整備も大事」と話す。
前任の総合政策局長時代には「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」のうち、国交省関係の取りまとめを行った。緊急対策で国交省が掲げた67の対策に関して「8つの対策は本年度中に目標達成となる。他の施策も3カ年で着実に進めていきたい」と説明。国交省の本年度当初予算で臨時・特別の措置を合わせて6兆円近い公共事業費を確保したことに触れ「当初予算ベースだとここ数年無かった水準の予算。2020年度についても本年度に引き続き臨時・特別の措置が講じられることになっているので、必要な予算の確保に努めたい」とした。さらに6月に閣議決定された「骨太の方針」で緊急対策後も国土強靱化基本計画に基づき必要な予算を確保し、災害に屈しない国土づくりを目指す方針が盛り込まれたため「3か年の対策後も国土強靱化基本計画や都道府県・市区町村の国土強靱化地域計画に基づいて予算の確保も含めてきっちりと進めていかなければならない」と強調する。
また建設産業は「日本の社会を支えている大変重要な存在」との認識を示し、持続可能な産業となるよう産業政策と公共事業執行の両面で計画性を持って進める意向だ。
【略歴】くりた・たくや
1984年京大法学部卒、建設省採用。大臣官房人事課長、大臣官房審議官(総合政策局、土地・建設産業局担当)兼大臣官房参事官(人事担当)、都市局長、総合政策局長を経て本年7月9日付で現職。61年8月31日生まれ。大阪府出身。担務は国土関係施策・北海道開発関係施策の総括整理。