
 国土交通省の林俊行・大臣官房建設流通政策審議官(建流審)は就任インタビューで、建設キャリアアップシステム(CCUS)の重要性を指摘し「行政としても本腰を入れて普及促進を図っていかなければならない」との考えを示した。特に「一人一人の技能工の現場での知識・経験が蓄積され、報酬や評価につながっていくことが大事。業界の方たちにも問題意識を持っていただいて、一致団結して取り組む必要がある」とし、積極的な参加を呼び掛ける。
 
 林建流審は、建設業課から自身の公務員人生が始まったことに触れ「30年ぶりに帰ってきたが業界が目指すべき方向性はあまり変わらないと思っている。当時も技術と能力を持つ企業や人がきちんと評価され、成長していける市場環境を作らなければいけないと言われていた。それが経営事項審査や技術検定だったりした。今は働き方改革が進んでおり、キャリアアップシステム、平準化や週休2日の問題など社会の大きな変化の中で業界として課題にしっかり対応する中で、実績が評価に反映される仕組みを作っていくのが、われわれ行政の仕事。そういうことに多少なりとも貢献できれば」と抱負を語る。
 新・担い手3法の運用に向けては、入札契約適正化法の基本方針、公共工事品確法の基本方針や運用指針の作成について「閣議決定をしなければいけない方針は着々と準備を進めていきたい。業界向けにも説明会を重ねて制度の周知を図っていく」とした。特に品確法運用指針は「多分野にわたり量も多い。発注者全体の問題でもあるので、自治体と調整し、業界の声も聞きながら円滑に制度が運用されていくよう努力したい」と話す。
 特定技能外国人の受け入れに対しては「年度内にフィリピン、ベトナムを念頭に現地での教育や試験を実施するための体制づくりを進めている。能力のある方に安定して国内で働いていただける環境を作った上で、受け入れられる体制づくりをしなければならない。国内の労働者の処遇改善にもつながる形にすることで、お互いにウィンウィンになれる関係で制度を進めていくことが大切だ」と述べた。
 
【略歴】はやし・としゆき
 1988年東大法学部卒、建設省採用。国交省大臣官房広報課長、内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(総括担当)、国交省大臣官房総務課長、水管理・国土保全局次長を経て7月9日付で現職。56歳。愛知県出身。