
国土交通省の野村正史大臣官房長は、2020年度予算概算要求について「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」が最終年度に当たるため「仕上げの年として集中的に実施する」との考えを示した。加えて「緊急対策後を見据えて、今の整備水準や取り組みの見直しも含めながら、対策の加速化・深化を進めたい」と話す。また「社会資本整備は未来への投資ということをしっかりと訴えて、ストック効果の高い公共投資によって経済成長を着実に実現するために必要な公共事業予算を安定的・持続的に確保するという姿勢を引き続き持っていかなければいけない」と強調した。
官房長の仕事に対しては「官房は組織を陰で支える黒子という位置付けだと思うが、国土交通省が仕事をする上でなくてはならない部署。職員が生き生きと働ける環境を整えるために、フットワーク第一を心掛けながら仕事に取り組みたい」と抱負を語る。さらに「国土交通省は危機管理官庁でもあるので、現場力を維持し高めていくことが不可欠。一方で余力を持ち、モチベーションを保ちながら仕事をするという意味での働き方改革の両方を行う必要がある」との姿勢を見せる。
前任は土地・建設産業局長で、建設業法改正を含む新・担い手3法成立に尽力した。今回の法改正について「特に工期の適正化として、建設業法では著しく短い工期による請負契約締結の禁止という、かなり思い切った措置を盛り込んだ。もう一つの大きな柱の施工時期の平準化は品確法・入契法にも明文化した。この2つは建設業の働き方改革を進め、担い手の確保につなげていく新・担い手3法の中でも中心的なテーマ。発注者側の理解と協力を得ることが重要で不可欠」と指摘。官房長は中央公契連会長の立場もあるため「国もまだ努力を講ずべき余地を残していると思うので、さらなる発注の適正化、公共工事の発注者責任を果たすための取り組みをやらなければならない。建設業の持続可能性を視野に入れて発注業務を行うことが発注者共通の責任。新・担い手3法を契機として地方公共団体に対しても発注をより適正な方向に誘導していくために努力する。国の責任がより強まった」とした。
【略歴】のむら・まさふみ
1985年東大法学部卒、建設省採用。土地・建設産業局不動産業課長、総合政策局総務課長、大臣官房政策評価審議官(兼)大臣官房秘書室長、水管理・国土保全局次長、国土政策局長、土地・建設産業局長を経て本年7月9日付で現職。58歳。富山県出身。