
国土交通省港湾局の髙田昌行局長は「先人が築いた財産をしっかりと引き継ぎ、発展させていきたい。『国力の源泉は港にあり』と思っている。島国日本の在り方として、港湾は日本がこれから経済発展し、国民の豊かな暮らしを支えるためにも不可欠」との考えを示す。
港湾施設の老朽化、防災・減災など安全・安心対策に向けては「施設で防ぎきれない大災害は必ず生じるという認識は持っていないといけない。自助・共助・公助を意識しながら、ソフト・ハード一体となった対策を地域とともに構築していくことが基本。ハード面で見た場合、建設後50年以上の構造物は岸壁が現状の2割から20年後には7割に、港湾の海岸では現状の4割が20年後には7割に達する。老朽化が急速に進行するので対策は必要。防災・減災、国土強靱化もあるが、港湾管理者等が施設単位で作成する維持管理計画に基づいた計画的な定期点検を行う中で、老朽化対策も含めて確実に行えるように、より実務的な研修を行いながら技術的な支援も行いたい」と語る。
昨年9月に発生した台風21号では大阪市内への高潮浸水を防止することができた。「大阪港は海岸保全施設の整備や適切な維持管理を行った。維持管理を含めた投資額は1500億円だが100倍を超える効果の17兆円の資産が守られたとされ、計画的にソフト・ハード一体となった防災・減災対策に取り組むことが必要。国防という面からも災害に備えることは重要であり、防災インフラを強化することによって国民の生命・財産も守られる」と強調する。
港湾工事におけるi-Constrctionに関しては「新・担い手3法の中でも基本的な概念として情報通信技術等による生産性向上が位置付けられた。港湾では2018年度から浚渫工で3次元測量が可能なマルチビーム測深を活用した試行工事を実施している。一定の成果や効果が得られたが、データ解析時間がかかり過ぎるという問題も把握できたので改善を図る。海中の可視化技術は検証実験を積み重ねて実海域で適用できる技術として確立していきたい。3次元モデルを用いた設計照査や施工計画のシミュレーションを標準的に行うことも必要だと思う」と意欲を見せる。
【略歴】たかだ・まさゆき
1986年大阪大学大学院工学研究科修了、運輸省採用。国交省港湾局振興課長、同局産業港湾課長、関東地方整備局副局長、東北地方整備局長を経て本年7月9日付で現職。57歳。大阪府出身。