〈冬虫夏草〉 建設業界の環境
2019/09/17コラム
冬虫夏草
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、科学研究から得られた最新の知見を評価し、気候変動に関する評価報告書5~6年ごとにこれまで5回提出している。
それによると、温暖化現象は疑う余地がなく、最悪のケースでは、21世紀末に日本全国の平均気温は4.5度上昇するとしている。
例えば、横浜は最高気温35度以上の猛暑日が年間約40日に増えるほか、現在は年に40日余りである最高気温30度以上の真夏日が約110日へと、最高気温25度以上の夏日が年に170日ほどになり、1年の半分近くを占めることとなる。
東京の最高気温は43.3度となり、超大型の台風が首都圏を直撃するシナリオが予想されている。
なお、既に台風の発生地点はかなり北になっており、そのため、関東上陸や北海道を台風が襲うといったこれまでにない現象が起きている。
秋分や春分の日も変更しなければならないのだろうか。少なくとも、一部で使用されている農業カレンダーは変更した方がよい。
このことは建設業界にとってどのような影響があるのだろうか。
例えば、建設資材の変更が考えられる。
熱に強いアスファルトが必要であるし、建築物においては、遮熱性の高い外壁やガラスが必須となる。
家周りの素材にしても、裸足で歩いても火傷しないことも重要となる。
一方、温暖化は海水の蒸発も活発にすることから、台風の大型化もそうであるが、極端な豪雨が頻繁に発生することとなる。
このところ、広島、熊本、佐賀、三重と大雨被害が頻発しており、今後は、頻度と地域に特異性がなくなってくるであろうと思われる。
それにより、必要な工事は河川工事が第1番目にくる。
河道掘削、堤防のかさ上げ、橋梁の補強が必要となる。
東北や北海道では、排水能力がこれまでそれほど必要でなかったことから、遅れている内水排水対策事業も必要であろう。
建設業者は国土交通省等と防災協定を結び、チームで防災体制を整えているが、各企業がそれぞれ、防災備蓄ヤードが必要となることも考えられる。
大雨被害を受けた地域では、被災した家屋の片付けも大変であるが、発生したゴミの問題はより深刻である。
ごみを運搬する重機も地域のものは被災しており、一挙に大量に必要となる。
災害において主要に業界として対応するのが建設業界であり、準備が必要である。