<建設女子・現場アルアル> 建設現場で働くにはごますりが大切なのか。
2019/11/13コラム
建設女子
現場で働く人の働き方は実に様々です。建設会社の社員として働く人、個人事業主として現場監督から仕事を依頼されて働く人、工務店のアルバイトとして働く人など勤務形態はたくさんの形があります。平成になってからは女性の現場作業員も増えてきましたが、各現場にいる女性の数自体はまだ少なく、珍しがられることも少なくありません。
独立してフリーとして働く女性の職人は、建設現場での仕事自体を取ることが簡単ではなく、まずは女性だからという理由で相手にしてくれません。いくら丁寧な受け答えで挨拶し、他の男性の職人と同じように名刺を渡してアピールしても、話は素通りされることがとても多くあります。やっとのことで営業が成功して必死に働いても、決して実力で評価されて使ってくれているわけではなく、単に依頼元の男性のお気に入りだったからという理由であることも多いです。女性が現場で実力勝負をしてくためには男性の数十倍の努力がなければ務まらないと感じます。死に物狂いで努力してきたのに、実力で評価されたわけではないと分かった時には心底がっかりします。
女性だけにかかわらず、男性でも実力ではなく「如何に監督にごますりをするか」で監督からの評価が決まっている風潮があるとよく聞きます。安全第一、お客様のためにとあれだけ大きく謳っているのにも関わらず、結局自分にとって都合よく動いてくれる人材であれば誰でもよいという解釈も出来てしまい、職人としては非常にやる気が削がれる思いをしてしまいます。どれだけ陰で努力を重ねても、それが認められることが非常に少なくなってきています。
女性に対しては「まだ若いからちょっと笑えば仕事がもらえていいな」と言われることもあります。どれだけ悔しい思いをしてきて、負けずに踏ん張って努力を重ねても、女だから楽して仕事をもらえると解釈されることは非常に憤りを感じてしまいます。常に女というフィルター越しにすべてを見て解釈されるのは職人としてはとても悔しく感じます。確かに女を上手く使って儲けることは不可能ではないかもしれませんが、いずれそのような仕事の取り方は限界が来ます。そうやって潰れていく人を何人か見てきました。そうなりたくないから実力勝負で挑んでいきたいのに、実力で評価されることが少なく悲しくなります。
実力で勝負していくためには本当に人生かけて死に物狂いでやる他ありません。実力で評価されるような仕事の取り方を考え、フィルター越しに見てくるような業者の依頼はすべて断り、本当に自分の腕に興味を持ってくれる人との関わりに限定していくことで、おのずと実力を認めて依頼をしてくれる人が増えるようになります。ここまで続けるには相当な気持ちの強さと世の中と戦う意思が必要です。決して色目を使ったりごますりで仕事を取っているわけではないとわからせるには相当な年月が必要でしょう。
寄稿者:建設女子(複数)
建設業に携わる女性のコラム。特に建設現場での出来事や苦労した話、嬉しかったことや発見したこと、不思議に思っていることなど、『現場あるある』を自由に発信してもらいます