〈冬虫夏草〉 パンデミック
2020/01/28コラム
冬虫夏草
このほど、中国の新型コロナウイルスによる肺炎の発症者が中国本土は言うに及ばず、世界に広がっている。
これで、1カ月足らずで発症者が2,000人を超え、国家衛生健康委員会トップは、「ウイルスの感染力がやや増強している」と認めている。
日本の厚生労働省は当初、新型コロナウイルスの感染力は低いだろうと予測していた。
感染力の判断は各国でバラバラの状況だ。
感染症の拡大は1から6までの段階(6が高い段階)が設定してあり、フェーズ6になれば、世界的な感染の流行を表す用語である「パンデミック」と呼ばれる。
無論、通常のインフルエンザが世界的に流行することもあろうが、致死性が高いものが特段に呼ばれる傾向がある。
パンデミックとなった疾病は、古くは「天然痘」「ペスト」「梅毒」「コレラ」「結核」、古くはないが「AIDS」などがある。
近年では、エボラ熱、ラッサ熱などがあり、記憶に新しいものでは「SARS」がある。
「SARS」は今回と同系列のコロナウィルスで、エボラ熱、ラッサ熱と決定的に違うのは、人・人感染が起こっている事だ。
これは、地域性や感染源となるダニやネズミに注意すれば済むということでは済まされないということだ。
さらに、新型コロナウイルスは感染経路がいまだ不明であることだ。
エボラ熱は血液感染であるし、AIDSも体液感染だ。
もし、咳などの飛沫感染であれば、防御は限りなく難しくなる。
SARSは抑え込まれたが、ウィルスは変化するものである。というより、変化することにより、原始より生きながらえてきた。
普通は、感染力を強くすれば、致死性は低くなる。致死性が高いままだと、宿主を殺してしまい、種としての延命確率が低くなるからだ。
ただ、人間にとって致死率90%を超えるエボラ熱は恐ろしいが、致死率20%でも、感染力が強ければ、死亡者数は同じようになってしまう。
14世紀のヨーロッパで流行したペストは当時のヨーロッパの人口の3分の1が亡くなったとされている。
無論、対処療法が適切に行われるのであれば、新型コロナウイルスでその様な事態に陥ることは考えづらい。
しかし、酷な言い方になるが、疾病は著しく生産性を落とすということである。
経済的に繊細な状態である中国で「SARS」に続き、新型コロナウイルスが爆発的に流行すれば、間違いなく深刻な影響が残るであろう。
なんとか、水際で食い止めてほしいものである。
寄稿者:冬虫夏草
長きに渡り、地方自治体における総合評価制度の実際の現場で評価に携わってきた
現在も総合評価制度を探究し、ゼネコンはじめ多くの建設企業から相談を受けている