
国土交通省は14日、3月から適用する公共工事設計労務単価を明らかにした。国交省等が本年度に行った公共事業労務費調査に基づき決定したもので、全国全職種(50職種)の単純平均は前年度比2・5%上昇となった。単価の大幅な引き上げが行われた2013年度以降、8年連続伸びており、全国全職種の加重平均値は2万214円で、単価の公表を開始した1997年度以降では最高値を更新し、初めて2万円を超えた。ただし全国平均の伸び率は過去8年間では最小の数値だった。大幅引き上げ前の12年度と比較すると単純平均は51・7%の増加となる。
職種別では、前年度比でトンネル世話役が5・9%増、トンネル特殊工およびブロック工が4・9%増、トンネル作業員が4・1%増と伸びが顕著だった。ブロック別では、四国をはじめとする西日本での伸びが目立つ。

会見で赤羽一嘉大臣は、新単価について「3月1日以降に契約締結するゼロ国債を含めた補正予算による発注工事についても前倒しで適用できることとし、公共事業の円滑な施工に万全を期すとともに、施工時期の平準化を進める」と話した。
さらに、関係団体に対し、今回の単価引き上げを踏まえて建設技能者への適切な水準の賃金支払いを要請するとともに、建設キャリアアップシステムを活用して、①4段階の能力評価を賃金上昇の好循環につなげる施策②退職金充当や社会保険加入徹底など賃金以外の処遇改善にもつなげる施策③発注者、元請け、下請けそれぞれの生産性向上につながる施策④システムに関する業界全体での理解と普及を促進する施策―に関する施策パッケージを「建設業界とも連携しながら本年度内に取りまとめるよう指示した」ことを明らかにした。
本年度の公共事業労務費調査では、対象労働者の年間有給休暇の取得状況も調べており、有給休暇の取得義務対象となる労働者の中で義務化分(5日)の休暇が取得できている技能労働者の割合は全体の4割弱であり、下請け次数が高くなるほど少なくなる傾向にあることが分かった。
なお、「建築ブロック工」は十分な有効標本数が確保できず、単価設定に至らなかった。