<税金豆知識> 節税対策に補助金活用も!建設業経営者が知っておきたい豆知識
2020/03/05コラム
税金豆知識
建設業を経営されている方の中には払うべき税金の種類が多く、苦労されている方も多いのではないでしょうか。ここでは、払う税金をなるべく少なく抑えるための節税方法や経営の助けとなる補助金の活用など、安定した経営を行っていくために是非とも知っておきたい豆知識をご紹介します。末永く事業を続けられるよう、是非参考にしてみてください。
外注費を増やし、各種税金をなるべく減らそう
建設業で欠かせない費用となってくるのが、人件費です。人件費と一口に言っても、社員として雇う場合と他社に外注を行うのではかかる税金が全然違います。社員を雇い、給料を払った場合にはその金額は経費として計上されませんが、外注をすればその外注費を売上から差し引いた金額に対して税がかかることになり、結果として大きな節税となります。社員を雇うことで事業規模を広げていきたいと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、その際にかかってくる税金は馬鹿になりません。少なくとも事業が軌道に乗るまでは、なるべく下請け業者に依頼することを心掛けましょう。
ただし、外注を行う際、社員扱いではないことを明確に示す必要があります。例えば、週や月ごとの拘束時間・場所を決める余地を相手に与えなかったり、案件ごとの支払いではなく毎月の給料として支払っていたりすると、税務調査の際に外注費が認めてもらえない場合があったり、外注先から労働局へと告発されて問題になってしまう場合もあります。継続して依頼する場合であっても案件ごとに単価を定め、支払いを行うようにしましょう。また、ある程度外注先が自分で休みを決められるように調整することも重要です。
意外とかかる収入印紙代を電子化により減らそう
工事の契約等で意外とお金がかかってしまうのが、契約書を送る際の収入印紙代(印紙税)です。これは紙ベースの契約書をやり取りする際に契約金額に応じて必ず必要となるもので、売上が高い事業者であればあるほど大きな金額となり、負担となってきます。1件あたりの工事金額が100万円以上の場合に支払い義務が生じ、1件ごとに数千円かかってしまうことすらあります。金額だけ見れば大したことがないように思えますが、塵も積もれば山となると言うように、徐々に痛手となってしまいがちです。
しかし、この印紙税を合法的に払わずに済ませる方法があります。それは、契約の電子化です。電子媒体により契約を交わす場合には収入印紙をそもそも貼る必要がなく、新たな税金がかかることもありません。契約書に限らず、現在はIT化によって様々なものが電子化し、クラウド上で管理する時代になってきています。印紙税の見直しを機に様々なものを電子化することで、普段の人件費を削減することもセットで検討されてみてはいかがでしょうか。
建設業の事業者がもらえる補助金とは
建設業の事業者にとって、安定した経営のために欠かせない節税ですが、それに加えて補助金を活用することも大きな助けとなります。まず代表的な補助金として、雇用調整助成金と呼ばれるものがあります。これは経済事情や気象条件など、様々な事情により雇用を削減せざるを得なくなってしまった事業者向けに用意されている助成金です。建設業は他の業種と比較しても浮き沈みが激しく、厳しい状況に追い込まれることも少なからず考えられますので、その場合に真っ先に検討しておきたい補助金になります。
他には、人材確保等支援助成金と呼ばれる補助金があります。こちらは、短時間社員制度などフルタイムで働くことが厳しい社員でもなんとか働けるよう、上手く条件を調整することに成功している事業主が対象となる補助金で、外注を増やしながらも正社員を守っていきたいと考えている方には最良の選択と言えます。
また、人材開発支援助成金という補助金も注目を集めています。女性や若年者をはじめとして、じっくり時間をかけての育成が必要な人材を抱えている事業主に対して、人件費を補助する形で助成金を配布するというものです。事業主の中でも人材育成にかなりの金額を割かれている方は多くいらっしゃいますので、多種多様な人材を受け入れることを目標にされている場合は特に申し込みを検討してみましょう。
建設業経営者だからできる節税や補助金申請
建設業の経営者ならではの節税方法や補助金について解説してきました。普段の業務をこなすのに精一杯で、一見簡単でありながら見落としてしまっている節税方法があったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、補助金も自分から調べなければなかなか見つけられないことが多いため、これを機に経営を安定させるのに手っ取り早く使える方法を意識してみることをお勧めします。
寄稿者:税理士
現役税理士が、融資に強い決算書とは?、合理的な節税方法とは?など、経理面・税金面の「読んでみて少しでもタメになる話」を寄稿