<税金豆知識> 個人の建設業者に絶対に知ってほしい節税方法
2020/04/09コラム
税金豆知識
中小企業が圧倒的に多い建設業。中には「一人親方」と呼ばれるように一人で事業を切り盛りしている建設業者もあります。中小の建設業者にとっては、税金として納める額ができるだけ小さくなるように節税を進めることが大事です。正しい節税方法を知らないと、確定申告の際に予想以上の税金額を見て焦ってしまうなんてことも起こりかねません。この記事では、個人の建設業者に絶対に知ってほしい節税方法を紹介します。
倒産防止共済で節税
節税方法として代表的なものが、倒産防止共済への加入です。倒産防止共済とは、開業してから2年目以降の個人事業主を対象にした中小企業の連鎖倒産を防ぐために設けられた共済です。月々最大20万円を掛け金として積み立てることとなり、掛け金は経費として落とすことができるため、年間で最大240万円まで節税することが可能となります。40ヶ月以上掛け金を納付すれば、解約したときに解約返戻金として今までの掛け金が満額で返ってくることも大きな魅力です。
注意点としては、解約返戻金は事業所得として取り扱われることになるということが挙げられます。したがって、業績が落ち込んで所得が低くなったときに解約するなど、解約するタイミングは慎重に判断する必要があります。また、倒産防止共済への加入にはある程度の時間を要することがほとんどであるため、「決算ギリギリに加入しようとしたが間に合わなかった」なんてことにならないように、時間に余裕を持って加入手続きをすませるようにしましょう。
小規模企業共済で節税
節税のもう一つの方法としては、小規模企業共済への加入が挙げられます。大企業に勤めている人であれば退職の際に「退職金」を受け取ることができるのが一般的ですが、中小の建設業者などの個人事業主には退職金制度がありません。その悩みを解決するのが小規模企業共済であり、積み立てた掛け金に応じて、退職時や廃業時に共済金を受け取れる仕組みとなっています。
小規模企業共済で支払った掛け金は「小規模企業共済等掛金控除」として全額が所得控除の対象となるため、倒産防止共済と同じように有効な節税方法となります。ただ、月々の掛け金の上限は7万円に設定されているため、年間でも最大84万円の節税となり、節税効果は倒産防止共済に比べるとやや劣ると言えるでしょう。しかしながら、小規模企業共済で受け取ることができる共済金は、事業所得ではなく退職所得として扱われるというメリットもあります。退職所得にかけられる税率は企業所得に比べると軽くなるため、倒産防止共済よりも軽い税負担で共済金を受け取ることができます。注意点としては、加入条件として従業員数が20を超えていること、加入後20年以内での解約では元本割れとなることが挙げられます。
寄稿者:税理士
現役税理士が、融資に強い決算書とは?、合理的な節税方法とは?など、経理面・税金面の「読んでみて少しでもタメになる話」を寄稿