
建設経済研究所と経済調査会経済調査研究所は27日、「建設経済モデルによる建設投資の見通し」(2020年5月版)を公表した。19年度の建設投資は前年度比1・5%増の61兆7900億円、20年度は同比1・7%減の60兆7500億円と予測した=表参照=。建設投資が前年度比で減少するのは14年度以来6年ぶり。本年1月時点の推計と比較すると、19年度は3500億円減、20年度は2兆5200億円減と下方修正している。新型コロナウイルス感染症の影響による住宅投資等の落ち込みに加えて、東京オリンピック関係の投資が一巡したこともあり、政府建設投資を除く民間投資は前年度比で減少となった。
19年度は政府建設投資が堅調に推移する一方、民間住宅投資が弱含み、民間非住宅建設投資の一部でも伸び悩んだ。20年度当初に関しては、新型コロナの影響で景気は厳しい状況にあり、先行きについても実体経済の落ち込みによる民間建設投資の減少が懸念される。
政府建設投資は19年度が前年度比5・7%増の21兆8800億円、20年度は同比2・8%増の22兆4800億円と予測。18年度補正や19年度補正予算分が20年度に一部出来高として実現すると想定し、1月推計から19年度は3000億円増、20年度は1600億円増に上方修正した。
民間建設投資のうち、住宅投資では19年度の住宅着工戸数は前年度比7・3%減の88・4万戸で、14年度以来の90万戸割れとなった。20年度は同比6・6%減の82・6万戸になるとし、持家は政府による住宅取得支援策の効果が弱まり、貸家と分譲住宅も減少すると予測。年度当初は新型コロナの影響により停滞が見込まれ、年度後半は企業倒産や雇用情勢等の実体経済の悪化、新型コロナに伴う今後の動向に注意が必要としている。
非住宅投資(建築+土木)は、19年度が前年度比0・6%減の16兆9700億円、20年度は同比4・2%減の16兆2700億円を見込む。20年度は手持ち工事が蓄積しているため、当面の業績に与える影響は少ないと見るが、地域経済の停滞、世界経済の減速に伴う製造業の業績悪化など先行きを注視する必要がある。
また建築物リフォーム・リニューアル投資について、19年度は前年度比1・2%増の7兆6100億円、20年度も同比1・2%増の7兆6900億円と予測している。