<税金豆知識> 建設業経営者が知っておくと役立つ消費税の経過措置
2020/04/23コラム
税金豆知識
2019年に消費税率が10パーセントに引き上げられましたが、消費税率の変更は建築業を営んでいる経営者にも大きく関係しています。消費税率の変更によって、事業者が納付すべき消費税の金額も増えましたが、税額の計算をする際に知っておいたほうが良いのが、変更に伴う経過措置です。ここでは建築業に関係する、消費税率変更の経過措置について詳しく紹介します。
消費税の経過措置
消費税率が10パーセントに引き上げられたのは2019年の10月1日ですが、この日を基準にして、資産の譲渡等に課せられる消費税の税率もそれぞれ異なります。原則として、課税の対象になる資産の譲渡等が2019年10月1日以降に行われた場合には、適用される消費税率も変更後の10パーセントになります。2019年9月30日以前に資産の譲渡等が行われた場合には、適用される税率は8パーセントになり、それぞれ正しい税率を使用して税率の計算をする必要があります。建設業者が消費税の計算をする際に特に注意を要するのは、2019年10月1日を含む事業年度の消費税の計算です。
毎年6月30日が各事業年度の終了日である建設業法人の場合、原則として2019年7月1日から2019年9月30日までに行った資産の譲渡等については、旧法の8パーセントの税率が適用されます。2019年10月1日から2020年6月30日までの期間に行われた資産の譲渡等については、10パーセントの消費税が課せられます。そのために完成した建物の引渡しの日などによって、8パーセントになるか10パーセントになるか異なるのですが、それぞれの取引ごとに正しい税率を用いて計算していく必要があります。
工事の請負契約をした場合の経過措置
建設業者が消費税の計算をする場合に注意しなければいけないのは、完成までに長期の期間が必要になる工事を行う場合です。工事の目的物を引き渡したのが2019年10月1日以降であっても、消費税率10%への税率引上げに伴う経過措置に係る指定日が2019年4月1日のため、工事に関する契約を締結したのが2019年3月31日以前であった場合には、資産の譲渡等にかかる消費税率は変更前の8パーセントになります。ただし、消費税が8パーセントに引き上げられたのは2014年の4月1日であるために、経過措置に係る指定日である2013年10月1日より前の日に締結された契約の場合には、さらに低い消費税率が適用されます。
消費税額の計算で間違えやすいのは、2019年3月31日以前に行われたかどうかの基準となるのは、あくまで工事の請負契約を締結した日であることです。同じように2019年10月1日以降に工事の目的物を引き渡した場合でも、2019年7月30日ならば新しい税率の10パーセントで税額の計算がされます。契約日が2019年2月28日ならば、変更前の8パーセントが適用税率です。指定日である2019年4月1日より契約日が前か後であるかが、判断の基準になります。
寄稿者:税理士
現役税理士が、融資に強い決算書とは?、合理的な節税方法とは?など、経理面・税金面の「読んでみて少しでもタメになる話」を寄稿