
社会保険加入や働き方改革規制逃れを目的とした建設業の一人親方化対策等を探るため、国土交通省は5日に開いた検討会の第2回会合で、構成団体に対して行ったアンケート調査の結果を示した。今回は調査内容を踏まえた偽装一人親方に対する認識や取り組みの論点について意見を交換。調査結果では一人親方との契約方法・契約内容に関して、書面で契約を交わしている団体と口頭の契約のみを行っている団体に分かれた。また契約内容は、個人事業主としての責任ある仕事というよりも、単に労働力の提供のような働き方が多いことも明らかになった。
冒頭、不動産・建設経済局の美濃芳郎審議官は、建設業法等の改正により10月から実質的に作業員名簿の添付を義務化し、技能者単位における社会保険の加入確認が厳格化されたこと、加入確認に建設キャリアアップシステムの活用を原則化することなどを説明し、今後の協力を求めた。
アンケート結果によると、偽装一人親方の現状について、社会保険加入対策の影響から「増えている」との指摘がある一方、社会保険加入促進による社員化が進んで「減っている」との指摘が出ている。また「現状は変わらない」「現状を把握できていない」との回答も多く、意見が分かれた。
偽装一人親方を減少させる取り組みに関しては「実態が雇用労働者であるにもかかわらず、社会保険が適用除外になっているものについてはヒアリングした後、雇用契約を結ぶよう企業を指導」「一人親方へのチェックシート活用等を行っていきたい」「組織内学習会を開催し適正な雇用の推進、労働法等への法令順守の周知徹底を図る」などの回答が寄せられた。取り組み予定がない団体からは「一人親方は不正ではないという意識(グレーゾーン)が業界内に強い」「新規で直接一人親方と請負契約を結んでいない」といった声があった。
明らかに実態が雇用形態であるのに一人親方として契約している企業に対する措置では「現場入場制限等の何らかの制限を設ける」「法的な処罰を行うべき。本人の意思に反して実態とそぐわない契約を企業側が強いているのであれば、厳罰化はやむを得ない」「違法性や業界としてのデメリットを上位会社が説明し、それでも是正されない場合は取引の停止も視野にさらなる指導を行う」など厳しい意見も出ている。
検討会では今後も対策を協議し、年度内に実効性ある施策を盛り込んだ中間取りまとめを行う。