
国土交通省総合政策局の石田優局長は「総合政策局の仕事は全体の橋渡しや取りまとめになる。菅政権の基本的な方針に縦割りの弊害排除があるので、まずは横ぐしを刺すというのが一丁目一番地の仕事」と話す。また、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策後の対応に関して「各府省庁と連携・協力しながら、緊急対策後の事業費の確保も含めて、国民生活や経済復興に向けて有意義な対策になるよう頑張りたい」と抱負を語る。
策定作業が進む社会資本整備重点計画の次期計画については「中長期的に一番大変なのが老朽化の問題。点検が一巡して個別の長寿命化計画は本年度中の策定完了を目指しているが、市町村を中心に点検をしても実際の修繕や、事後補修から事前予防に変えていくには、まだまだの状況にある」と課題を指摘し「単に長寿命化するだけではなく、場合によっては集約も含めた議論も必要」と考えている。さらに「厳しい財政と人口減少の中で整備を進めていく時に、本来は想定していなかった使い方も必要になる。世の中の変化に伴って複合的・総合的な利用が求められるものについては、応えていくことも重要な視点になる」と強調する。
社会資本の老朽化対策では、新技術活用が不可欠となる中で「本当に活用できる技術、特に中小・零細の建設企業でも活用できる技術をいかに実装できるかが大事。一方で最新の技術をどうやって使っていくのかも大事になる。高度なものから多くの現場で使える技術まで幅広く考えていきたい」との姿勢を見せる。
グリーンインフラの社会実装に向けては「環境問題への関心、生活の在り方への意識が変わってきている中で、緑や自然環境など幅広いものをインフラと捉えて、役割や果たすべき機能を再認識することが大切。浸透性の舗装やちょっとした緑地の整備など、一個ずつを見れば小さいものかもしれないが、街や社会全体の構造として意識をしながら進めていくことは大きな変化だと思っている。社会資本整備の担当者だけではなくて、幅広い関係者が意識を持ち、官民連携で進めていければ」との考えを示した。
【略歴】いしだ・まさる
1986年東大法学部卒、建設省採用。国交省大臣官房参事官(会計担当)、大臣官房会計課長、大臣官房審議官(住宅局担当)、大臣官房総括審議官、住宅局長、復興庁統括官を経て本年7月21日付で現職。58歳。京都府出身。