
建設経済研究所と経済調査会経済調査研究所が28日に公表した「建設経済モデルによる建設投資の見通し」(2020年10月版)では、20年度の建設投資は前年度比2・3%減の63兆8500億円、21年度は同比8・9%減の58兆1800億円と予測した。国土交通省が10月に発表した建設投資見通しを踏まえて、7月の推計から大幅に修正しており、新型コロナウイルス感染症の影響等による民間建設投資の落ち込みから20年度は前年度比で微減、21年度は前年度を下回る水準となる見通しだ。ただし21年度の政府建設投資について、今回の推計では概算要求における金額が未定の「事項要求」を考慮しておらず、今後の20年度補正予算も含めて関係事業費が計上されれば、投資額は上乗せになる見込み。
政府建設投資は20年度が前年度比4・1%増の25兆8800億円で、21年度は「臨時・特別の措置」を除いて20年度とほぼ同額が措置されると想定し、東日本大震災復興特別会計は概算要求額を参考に事業費を推計した上で、同比18・1%減の21兆2000億円と予測した。
民間建設投資のうち住宅投資では、20年度の住宅着工戸数は新型コロナの影響もあって前年度比9・8%減の79・7万戸と、リーマン・ショック後に落ち込んだ09年度以来の80万戸割れを見込む。21年度は、ほぼ横ばいの同比0・7%増の80・2万戸になるとした。住宅投資の水準は、20年度が前年度比7・5%減の15兆1200億円、21年度は同比4・4%減の14兆4600億円になる見通し。
非住宅投資(建築+土木)は20年度が前年度比4・1%減の16兆7900億円、21年度は同比2・2%減の16兆4200億円を見込む。20年度は宿泊施設や店舗の減少が予測される一方で、「手持ち工事」が約11兆円蓄積しており、倉庫・流通施設が堅調。21年度は引き続き倉庫・流通施設が堅調で回復の動きも見られるが、20年度の受注減少が影響し、回復のスピードが緩やかになる。
建築補修(改装・改修)投資では、20年度が前年度比7・1%減の7兆4800億円、21年度は同比0・9%増の7兆5500億円と予測した。