見たもん勝ち ～建設業応援団～
【北陸新幹線】 12月上旬までに金沢―敦賀間の工期短縮と事業費縮減策を検討
2020/11/12建設時事
建設メール
国土交通省は11日、工期の遅延や事業費の増加に伴い北陸新幹線「金沢―敦賀間」の開業時期が当初計画から約1年半遅れる見込みであることを与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム（与党PT）に報告した。与党PTが今回の報告を了承しなかったことから、国交省は工程・事業費管理に関する検証委員会を早急に立ち上げて、さらなる工期短縮策と事業費縮減策を検討し、12月上旬までに中間報告を行う考えを明らかにした。
整備を担当する鉄道・運輸機構によると、2022年度末の開業を目指す「金沢―敦賀間」では、3月に加賀トンネル工区でトンネル底部の膨張によるクラックの発生が確認された。加えて敦賀駅の駅舎と終点部高架橋の工事で想定していた土木工事の体制増強が進まず、作業スペースの制約から土木工事と建築工事の同時施工が実施できないことから、現時点で工期が1年半程度遅れる見込みとなった。また用地買収の遅れから土木工事の入札が19年度に集中し、想定を超える物価上昇の影響や入札参加者の不足等により多くの不調不落が発生するなど、10月の時点で約2880億円のコスト増加が必要となっている。
増加事業費の内訳は、物価上昇分で約910億円、地質不良対策で約200億円、法令改正関係で約10億円、不調不落関係で約720億円、工期短縮策で約900億円、生コン不足対策に伴うもので約140億円。現時点における事業費の認可額は約1兆4121億円で、これに約2880億円が上積みされると約1兆7001億円まで増えることから、早期の開業とともに、どの程度まで事業費を縮減できるかが焦点となりそうだ。
なお、専門家による検証委員会では来年夏までに原因究明と再発防止策を盛り込んだ最終報告をまとめる。
