見たもん勝ち ～建設業応援団～
大規模災害時の査定業務簡素化で自治体を支援
2022/02/15建設時事
建設メール
国土交通省は、激甚化・頻発化する大規模災害に対して市町村が円滑に災害復旧事業を実施できるような支援方策を検討している。具体的な方向性として、災害査定のさらなる効率化・簡素化に向け発生から工事発注までの全体の業務量を削減するため、より簡素な査定の仕組みを検討するほか、優先順位を踏まえた工事着手の実施を目指す。有識者や関係者で構成する検討会での議論を踏まえ、具体的な支援方策を盛り込んだガイドラインを年度内に作成する。
災害査定の効率化・簡素化では、橋梁や地すべりといった詳細な設計が必要な復旧工事を除き、写真などにより職員直営でも準備可能な資料、総合単価を使って査定までの業務量をさらに軽減させ、査定時点では採択要件に合致していることや復旧工法の確認のみの、より簡素な査定の仕組みを検討し、査定期間を前倒しする。また、査定まで、および工事発注までの期間で課題となっている測量・地質調査・設計等の委託業者の限られたマンパワーを最大限、査定後に集約させる。
さらに、被害状況や施設の重要度を勘案し、緊急性が高い箇所から工事に着手できるよう、準備が整った箇所からの査定ではなく、申請者自らが優先順位を踏まえて査定申請を行うことを徹底し、国交省のテックフォースによる被災状況調査や災害査定官による緊急調査の際にも助言する。査定のさらなる効率化・簡素化を採用する場合は、緊急性が高い箇所から工事着手に必要な詳細設計協議を優先することを原則化する考え。
ガイドラインは、災害復旧のマネジメントを担う課長級、課長補佐級職員を主な対象とし、災害対応初動期における体制構築の支援策を中心に非常時に手に取ってすぐに理解できるように情報量を絞り、気になる点を分かりやすく紹介する。大規模災害を経験したことがない市町村でも、災害時の状況や実施すべき事項をイメージしやすくするため、体験談や教訓などの具体的な事例を記載するほか、地域独自の好事例、ICT技術の活用やCM業務などの先進事例も取り上げる。
研修や会議等を通じてガイドラインの周知・活用を促し、平時からの取り組み強化や既存支援制度の徹底活用により、各自治体の状況に応じた災害対応力の底上げにつなげていく。
