【建設産業政策会議+記者の眼】 10年後を見据えた制度検討始まる
2016/10/11記者の目/論説
建設メール
国土交通省が設置した有識者・関係者による建設産業政策会議の初会合が11日に開かれ、10年後も建設産業が生産性を高めながら現場力を維持できるような建設業関連制度の基本的な枠組みの検討が始まった。今後、1~2カ月に1回程度の割合で会議を開き、来年6月にも提言をとりまとめる見通しだ。
国交省が今後の議論のポイントとして提示したのは▽人口減少や高齢化、AI、IoTなどの技術革新の進展を受けた10年後の建設市場▽確実な労働力人口の減少を見据えた担い手確保▽他産業との比較も踏まえた生産性向上と働き方改革への取り組み▽建設業関連制度の基本的枠組みの評価と再検討のあり方。初会合では、建設産業の現状と課題について認識の共有を図った上で、委員が自由に意見を述べた。
委員からは大手と中小建設企業、土木と建築、都市部と地方部など対象となる政策を区分、区分けして議論を行う必要があるとの指摘が出た。
また、担い手確保と生産性向上が最重要課題であり、そのための処遇改善と週休2日確保を求める声も相次いだ。建設工事全体で4週8休を確保できている割合は1割以下とされ、年間出勤日数も全産業に比べ約27日間多いという調査結果が出ている。委員からは「工期が厳しく4週4休がぎりぎりなのが現状」「天候に左右されずに(技能労働者が)食べていけるシステムができれば週休2日も夢ではない」といった意見が聞かれた。
経営事項審査に関しては、「今後はY点またはW点が大事になってくる」という指摘や、実態を踏まえた評価方法の見直しを求める意見が目立った。
建設業法については、「法の適用範囲を現代型に変えていかなければならない」との指摘も出た。
〈記者の眼〉
委員からは他にも「今までの延長線上ではないやり方を」「(建設業法を)もう少しエレガントな法律に」「民民の契約に行政がどのように入っていくかが大事」「建設業界内だけの閉じた議論とせずに他の業界との流動化、副業化の視点も必要」「外国人労働者を今後本気で入れる気があるのか議論しなければならない」など率直な意見が多く出たことが印象的だった。今後の議論の行方によっては建設業法、請負契約、経審、技術者制度などの見直しにつながる可能性がある。業界にとって長年の課題解決へ道筋を付ける最大のチャンスでもあり、それぞれの立場を超えて建設業界として協力し、前向きな議論につなげるべきだろう。