【担い手確保+記者の眼】 高卒者の3年以内離職率 建設業は48%
2016/10/26記者の目/論説
建設メール
高校を卒業して建設業に就職した人の48・3%が3年以内に離職していることが厚生労働省のまとめで分かった。大学卒業者の離職率も3割を超えている。2013年3月の卒業生を対象に調査したもので、建設業の離職率は高卒者が前年比で1・9ポイント減少したものの、依然として調査産業の平均を上回る高い水準にある。大卒者は前年比で同じだった。
高卒者の離職率では、建設業は6番目に多い。
建設業振興基金が3月に工業高校に対して行った実態調査の結果、新卒の求人先を工業高校まで広げる建設会社が増えている状況が明らかになった。国土交通省では「人材投資成長産業」の実現に向けた施策の一つとして離職防止と定着促進を掲げている。高卒者の離職率が減少したことを好機と捉え、業界全体で良い流れを今後も継続する必要があるだろう。
〈記者の眼〉
高卒者の建設業の3年以内離職率は2年前が48・5%。今回、2年前の水準に戻ったとはいえ高い水準であることに変わりはない。政府が先月立ち上げた働き方改革実現会議で安倍総理は「働き方改革のポイントは働く方に、より良い将来の展望を持っていただくこと。若者が将来に明るい希望が持てるようにしなければなりません」と発言した。長時間労働の是正や休日の確保はもちろんだが、希望を持って建設業界に入ってきた若者が将来の展望を持てなければ早期離職の流れは変わらないだろう。「教えてくれる先輩がいない」ことを離職理由に挙げる高校生も多い。他産業との人材獲得競争がこれまで以上に激しくなる中、今の時代に合った形で新卒者の悩みや不安を取り除く体制を業界全体で構築することが急務といえる。