【道路施策】 老朽化対策で地方への支援策探る
2016/11/16建設時事
建設メール
国土交通省は地方自治体を含む道路全体のメンテナンスに当たり、持続可能な老朽化対策を確実に進めるための方策を検討している。国と地方の維持管理費が増加傾向にある中、予防保全型や新技術導入により将来の維持費用予算の水準を抑える必要があるとし、16日開催の有識者審議会で、必要な予算の確保や地方への国の関わり方について今後の方向性を示した。
国交省の調査によると、2016年度における市町村の平均道路修繕予算は2億700万円で、平均道路維持予算は1億4600万円。約6割の市町村が現在の予算規模ではメンテナンスサイクルを回せない見通しであるとアンケート調査に回答している。市町村の土木技術者数は点検が義務化された14年度以降は微増となっているが、依然として町の約3割、村の約6割で橋梁管理に携わる土木技術者が存在しない実態がある。
そのため、必要な予算確保に向けては地方における維持管理の費用負担を支援する仕組みの検討や、予算拡充の必要性に関する国民の理解、地方で必要な技術職員を確保すべきとの方策を示した。
また、地方への国の関わり方としては、直轄国道事務所や研究機関による地域の実情に応じた技術的支援体制の構築に加えて、全国横断的な判断による路線の重要性や予防保全への取り組み状況などで地方の維持管理に関する支援や関わりについてメリハリを付けることを提案した。
委員からは「地方に対しては予算のほかに、知恵や人材をどれだけ提供できるかも大事」「民間の退職者も含めた人材バンクを作る必要があるのではないか」「市町村が置かれている状況を『見える化』することも必要」などの意見が出た。