〈壁耳〉 クルマのICT革命始まる
2016/11/30記者の目/論説
建設メール
記者 国土交通省が自動運転の戦略本部を近く立ち上げますね。最近、自動運転の話題が目立つようになった気がします。
デスク 2020年の東京五輪・パラリンピックで自動運転による移動サービスを実現させることもあって本腰を入れた格好だね。国交省の生産性革命プロジェクトの一つとして「クルマのICT革命」が追加され、推進母体として戦略本部の設置を決めた。これから本格的に自動運転のルール整備とシステムの実証が始まることになる。石井大臣も「自動運転分野で世界をリードしたい」と意欲をみせている。
記者 建設業界には関係あるのでしょうか。
デスク 地域公共交通の確保や物流事業における労働力不足といった課題への対応がメーンではあるが、戦略本部の検討事項にはインフラ整備も含まれている。クルマのICT革命ではシステム実証の対象として、中山間地域における道の駅や高速バス停を拠点とした自動運転サービスが位置付けられた。当然ながら建設業界も大いに注目するべきだと思う。
記者 地方でも自動運転サービスが始まるということですか。
デスク その通りで、超高齢化が進む中山間地域でも人流や物流を確保するため、道の駅を拠点に自動運転の導入を検討している。例えば道の駅に自動運転車の制御センターや自動運転ステーションを整備し、中山間地域の住民がスマートフォンなどで呼び出すシステムを開発する。路面に敷設する破線を認識する光学ガイドシステムを加えることで線形の悪い中山間地の道路でも安全に自動運転車を走らせるという。さらに高速バスのバス停から自動運転車に乗り継ぎ、観光地を周遊できるようにして、観光振興や地域活性化も目指すようだ。他にもトラックの隊列走行、専用空間化された最寄り駅と最終目的地の「ラストワンマイル」を結ぶ新しい移動サービスなども検討している。
記者 クルマのICT革命という意味が少し分かった気がします。いずれも実現すれば生活様式やまちづくりが大きく変わりそうですね。
デスク そもそも大前提として、きちんとした道路や歩道、車線などが整備されていなければ自動運転は無理な話。建設業界も必ず活躍する場面があるため、今後の新たな流れを常に把握しておく必要があるだろう。