現場が抱えるジレンマ④ ボランティアの加点-成果目的と履き違える
2015/04/01特集企画/PR
建設メール
各自治体が格付を行う際には、経営事項審査の客観点に独自の加算点を設定している事例が多い。加算対象として工事成績、優良工事等表彰、優秀技術者表彰などは建設業本来の成果を反映する点で「いい仕事をすれば次につながる」加点となる。その一方で、社会貢献、特にボランティア活動に対する加点は、本来の意味から逸脱した動きになりかねない要素をはらんでいる。
ボランティアとは本来、自主的に無償で社会活動などに参加し、奉仕活動をする人、またその活動を指す。そこに、対価を求めないのが本筋といえる。
ボランティア活動への加点は「地元や地域のためにがんばってくれているのだから、何らかの形で評価したい」と、無償の善意に対して恩返しという思いから始まったのだと思われる。自治体側に、加点してあげるのだから「どんどんボランティアでやってもらおう」という考えがないならば、良い取り組みであろう。
ただ、企業側はどうだろうか。ある企業では加点があるから取り組もうとしており、自由意志ではなく、加点という目的のために行うボランティアと言わざろう得ない状況だ。
道路や河川がきれいになれば住民は喜び、予算がかからなければ管理者も助かる。政策誘導とまでは言えないかもしれないが、加点というエサに群がってしまう構図が、どうしても垣間見えてしまう。
他にも問題点がある。どんなボランティアでも加点対象になるというわけではない。あの活動は加点、これは対象外という暗黙の線引きがある。
ボランティアについては、総合評価方式の評価項目に加えている場合もあり、工事の品質に関係のない項目と指摘する声もある。