見たもん勝ち ～建設業応援団～
〈日々の栞〉 判断する責任は人にあり
2023/12/06コラム
日々の栞
▼人工知能 （AI）の発達が昨今、話題になっている。既に亡くなった巨匠の創作をAIが再現する試みも行われている。難解な計算やプログラミングのみならずクリエイティブな分野でも熟練した人による監督・指揮でAIをうまく活用している
▼建設DXの取り組みでも、煩雑な作業や異変の察知をAIに代行させ、省人化や生産性向上が進められている。AI技術と運用は他分野でも発展が続く。建設分野にも技術の進歩が反映されることで、業界全体の働き方改革の後押しとなることを期待したい
▼一方でAIが処理した情報を判断するのは、技術者のような責任者である。現場の最前線で機械と共に作業を行う技能労働者と、AIの情報を処理し判断を下す技術者のどちらも不可欠なのは変わらない。担い手の確保と育成は、やはり待ったなしの課題となる。AIが進歩しても、責任を持って判断をする人間はどこまで行っても必要なのだ
▼建設業団体の統計を見ると、施工管理を担当する技術者たちは、特に時間外労働が多い傾向にある。地方自治体でも土木や建築の専門知識を持つ職員の確保が課題となっている。AIを活用し、建設技術者が魅力のある職業だと若い世代に認知してもらう必要がある
▼AIの発達は建設業など多くの産業に変革をもたらし始めている。だが人間が判断し、責任を持つことは変わらない。AIの役割は、あくまで人間にとって魅力ある社会や働く場をつくるためのサポートである。AIがどれほど進歩しようとも、人間が社会をつくるのであれば、何事も最後に判断する責任と権利は、人にあり続けることになる。（東京・KS）
