【入札契約調査+記者の眼】 ダンピング対策、事後公表の導入進む
2016/12/16記者の目/論説
建設メール
入札契約適正化法等に基づき国交・総務・財務省が公共工事の発注者に対して行った2016年3月末時点における入札契約適正化の実施状況調査結果がまとまった。昨年4月の品確法運用指針の本格運用開始後の結果を反映した初めての調査となり、ダンピング対策として低入札価格調査制度や最低制限価格制度の導入が進でいることが分かった。両制度をいずれも導入していない市町村は158団体で、15年3月末時点と比較して23団体減少した。
また、予定価格の公表時期は42団体が事後に切り替え、最低制限価格の公表時期も90団体が事後に変えている(事前公表との併用、一部事後公表含む)。
社会保険等未加入対策については、定期の競争参加資格審査で元請業者から排除している団体が185団体増加し、個別工事における競争参加資格審査時に排除している団体は87団体増えた。ただ実施していない団体が908団体あり、市町村では浸透していない状況が浮き彫りになった。
多様な入札契約方式の導入関しては設計・施工一括発注方式や地域維持型契約方式、その他としてECI方式、技術提案・交渉方式を導入する団体も増えている。今回初めて調査項目に加えたCM方式(ピュア型)は47団体で導入実績があることが明らかになった。
国交省では今回の調査結果を踏まえて品確法運用指針のさらなる徹底につなげていきたい考えだ。
〈記者の眼〉
今回の調査結果からは、品確法運用指針の運用開始後1年間で都道府県レベルでは運用指針に位置付けられた各項目がおおむね徹底されている状況がうかがえる。ただ市町村に関しては、まだまだ浸透しておらず、都道府県による積極的な働きかけが不可欠な状況だ。直接出向いて説明することで対応が変わるという話もあるため、今後は都道府県別の発注者協議会の場を活用するだけに限らず、よりきめ細かな対応が必要になるだろう。国交省ではダンピング対策が未導入の一定規模以上の地方自治体に対して重点的な働き掛けを行う考えを示しているが、そうなる前に発注者が自らの責務を自覚して必要な改正を行うことが望まれる。歩切りの廃止に続いて、早期に全自治体がダンピング対策を導入することを期待したい。