現場が抱えるジレンマ⑦ 電子と紙の二重納品-職員間の共通認識図れ
2015/04/01特集企画/PR
建設メール
「電子納品なのに、なぜ工事写真を毎回印刷しなければならないのか」と嘆く、ある市の工事を受注する企業の技術者。検査時には、当然のように紙とデータの両方を要求されるという。CD納品を行っている自治体には、こういった事例が多いと聞く。
国に続き、群馬県でも工事写真などのCD納品が始まり、その後、受発注者間の情報共有機能や保管管理機能を備えた『ぐんま電子納品システム』の運用が開始された。ただ、現在は県土整備部の土木関連案件にのみ同システムが活用され、他部局では活用されていないのが現状だ。あるA等級の工事技術者は、他部局でのシステム活用拡大を訴えるが、別の企業の技術者は「紙とデータの二重納品が大きなストレス。電子納品なんてやめた方がいい」と異を唱える。確かに、同部が昨年、受注者へ同システム利用による業務負担の軽減に関するアンケートを実施したところ『過度な電子化、検査時・納品時に紙またはCDでの提出を要求される』といった理由もいまだに多かった。
県では職員向けの操作説明会や指導・通知により、電子納品に関する見解の相違が生じないよう周知徹底に努めている。その反面、土木事務所などの出先機関へは通知文の周知が図られているが、工事や委託業務の入札が少ない本庁の課職員には、十分浸透されていないといった見方もある。結果として、その課職員が4月の定期異動で土木事務所などへ配属された際、通知文に沿った対応をせずに成果品の二重提出が生じているという。要は、職員間で共通認識がとれていないことが問題と言える。
建設産業の発展には、若者の入職が不可欠だ。しかし、現場で日々、業務に追われる技術者が時間の有効活用を強く願う中、いまだ二重提出といった足元の課題が存在する。それが解決されなければ、建設業の人材確保には到底つながらない。国交省は二重納品防止に動き出した。自治体に是正を求めたい。